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怒りの感情2


前回の続き。

喧嘩上等並みに立ち上がって、彼女のクリアリングを聞く。

長い話を短くまとめると、彼女はクリアリングではなく『謝りたい』とのことだった。

ただ、彼女の話を聞いていても、謝られている気がしない。

ごめんといえば、済むことよね。

そんな感じの内容だった。

『ごめんで済むなら、警察いらねーんだよ』

もう、自分の口調が明らかに自分の振り幅を超えて

怒っているのを自分の中で感じていた。

そして、ファシリテーターが『クリアリングは終わったかい?』と彼女に聞くと

『ええ、何もなかったこととして、やり直しましょ』という。

全然そんな気になれず、私は無の表情で彼女をみていた。

そして、私の番がやってきた。

『私もあなたにクリアリングがあるわ』

さて、このクリアリングの行程。

とてもよくできているものだと思う。

最終的には、自分のその怒りの反応がどこから来ているものなのかを

鏡として見せられるからだ。

だって、当の本人のアンドリューは、そんなに彼女に対してすでに怒っていない。

でも、それを横から見ていた私がプンスカ怒っているのだから

言ってみれば、私の中に火種があって、そこに灯油を注がれているだけに過ぎない。

このクリアリングは、その火種をみつける作業に似ている。

まずはデータを伝える。

ファシリテーターが言った。 「データをくれ」

『彼女がギフトだと言って、ホームシェフを呼ぶことになった。

 アンドリューが喜んで受け取った。そのアンドリューを見て私も嬉しかった。

 ホームシェフが来た。

 それが、私たちへのギフトではなく、料理器具をうる訪問販売だった。

 訪問販売の人に言われたのが、

 4人紹介したら、無料のギフトを渡すと言われた。

 つまり、彼女は私たちを紹介することで、ギフトをもらえる仕組みになっていた。

 そこに、transparencyがなかった。

 夜にアンドリューが彼女に電話をした。

 でも、彼女は自分が無料のギフトをもらえるから私たちを紹介したことを認めず

 訪問販売の人が売りつけるなんて酷いと論点を変えていた。』

ファシリテーターが言った。

「オッケー。では、彼女に対するジャッジメントは?」

『詐欺師、人を利用する人、ナルシスト、自分の利益だけを考えている人

 人の優しさを売る人、巧妙に自分の利益になるように物事を言う人

 自分のために他人を使う人』

「それに対する感情は?」   

『怒り。憤怒。激怒。殺意。失望。』

「オッケーじゃあ、その感情を見せて」

そうファシリテーターが言った時

彼女が『私に気にせずにあなたの感情を出しなさい』と言うジェスチャーを見せた。

イラっときた私は、すかさず彼女に言った。

『あなたにファシリテーターは頼んでいない。黙ってぼけっと立ってろ』

自分でも驚くほどの低い声に、彼女は固まった。

感情をその一瞬で出すと言うのは、とても容易にできることではない。

誰が感情的になっている人を見て気持ちがいいだろうか。

誰が感情的な人を好むだろうか。

引いて終わりだろう。

惨めになって終わりだろう。

そう言う考えで私はずっと感情を人前で出すことなぞ、しないできた。

一般社会ではそうだ。大人だったらそうだろう。

でも、ここは私が安心して自分を出していい場所だと知っている。

その瞬間にデイビッドが言った。

『いず美、君の感情を止めるな。だせ。何が出てきても俺が受け止める』

それを聞いて、私は血眼になって、怒った。

『てめえ、ぶっ殺す!私の好きな人を欺いてんじゃねーぞ!

 人の優しさ利用してるんじゃねーぞ!』

と、知ってる限りの英語単語を羅列して、私は怒鳴りまくった。

そしてファシリテータのデイビッドが言った。

『そういうやつをなんと呼ぶ?』

今まで口にしたこともない汚い言葉を、私は彼女に向かって吐いた。

『マザーF』

それを言った瞬間に周囲が『YES!』と叫んで沸き立った。

もちろん、彼女に対してのイエスではない。

私がちゃんと自分の感情を出して、口にできたことに対するイエスだ。

そして、感情を全部出し切った後、何も残らない空っぽになった私に

デイビッドが聞いた。

『君に対して、君の親切を利用し、巧妙に口で操り、自分の利益にあるように君の心を使った人は誰だ?』

と。

そして、浮かんだ一人の男性がいた。

チクショー。。。。

そう呟いた。

この男性が、私の火種だった。

過去に、自分の親切を利用された。

過去に、巧妙に操られてバカを見た。

過去に、自分の心を遊ばれた。

その要素が、この女性のした事と重なって、私は怒っていたのだ。

彼女のしたことに怒っていたのではない。

彼女のしたことの要素が、過去の自分の許せなかった要素と呼応して、

怒りが再燃したのだった。

『デイビッド、わかってる。

 彼女のしたことに対して、私がオーバーに怒りを感じているのは。

 どう許したらいいのかしら。どうこれを収めたらいいのかわからない。』

デイビットが言った。

『君は、いず美に何を求める?』

私は言った。

『そうね、私は、いず美に対して

 ちゃんと自分が嫌なことをいやと伝えられる女性でありたい

 それと同時に、愛のある場所から許すことができ、

 愛を持ってその嫌だということを伝えられる女性になりたい。』

『おっけ。君は今、まだそこにどう到達したらいいのかを知らないけど、

 でも、それは必ず君の元にやってくる。

 僕は知っているよ、君がとても強く美しい女性だということを。』

ファシリテーターは、こんな醜い私を見せてでも、強く美しい女性だという。

きっとこの文章を読んで、

私のことをはしたない

そこまでしなくても

自制心がない

大人になれよ

そんなことを思った方もいるかもしれない。

私は実際 [自分]に対して思って来た。

だから、

それを抑圧して来たから

結局、自分の中の火種が

たかだか訪問販売ということに、どんぱちしている結果となった。

「こんな醜い私をよく美しいなんていうね、デイビッド」

そういうと彼は言った。

『君が呼ぶ「醜い」というのは、

 本当は怒って来るくせに、顔が笑っている人をいうんだと僕は思う。

 今、君は自分の感情に真摯に向き合ってる。

 それを「強さ」と呼ぶのだ。

 そして、そこから学ぼうとしている。

 それをギフトに’今’しようと向き合っている。それを「美しい」というのだ。

 だから、僕は君は強くて美しいと思うよ』

そして、どうフィニッシュするかを聞かれた。

私は、頭の中ではハグして丸く収めたほうがいいのだろうと思った。

でも、まだ彼女を許せていなかった。

すると、リックが言った。

『君はそのまま席に戻ることも選択肢の一つだ』

『オッケー私は、彼女にハグをする気は無い。だから、そのまま席に戻るわ』

席に着いた瞬間から、私の体の内側は小刻みに震えていた。バズっていた。

なぜバズっているのか、、、初めての経験すぎてわからなかった。

「他にクリアリングはあるか?」

そういうファシリテータの言葉に

別の女性が手をあげた。

『いず美と同様に、彼女に対して私もクリアリングがあるわ』

そして、その女性はまた同じ行程を受けていた。

きっと一般社会だったら

あの女性はそういう女性なのよね。そう悪者にされることだろう。

周りから無視されたり、ハブにされたり。

でも、ここでは違う。

誰かが悪者になるのではなく、全ては何かの気づきのはずだという視点から見ている。

体全体がバズりながら、今日の出来事を私はどうギフトに変えられるだろうか、、、、

体がひどくだるい。

怒りを吐き出すってこんなにダルいものなのか。

それと同時にこんな感情をずっと引きずって生きて来たのか。

そう帰路に着いた。

続く

モノクロから虹色へ

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