父の教えと母の教え
- Izumi Takiguchi
- 2020年6月12日
- 読了時間: 4分
先日のこと。
娘が木を引っ張って木の上の実を見ていたとき、
アンドリューが『引っ張っちゃダメ!』と教えていた。
『スイートハート、みるだけよ、みるだけ。』
と言ってた。
もう、タンスにごんのCMだったかな、
ミーテールーだーけ〜
って言うのを思い出して、
私はその二人の様子を庭のロッキングチェアに座りながらみていた。
すると
その余裕をぶっこいている私にイラッときたのか
『いず美は、いつもお花だったり木だったりを引っ張ることを教えているのか!』
と、アンドリューが言ってきた。
『うーん、積極的にそうしろとは言わないけど、
私はそこに対して抵抗を感じないよ』
そう言うと
『なぜだ』
と聞くアンドリューに
『いやーアンドリューの懸念もわかるんだけどさ、
木だって、触ってみないと、その質感、その強さ、その重さ、そのしなやかさが
分からないじゃない?
木だって、こんな2歳にも満たない子の無邪気な好奇心に怒らないと思うよ。
私は、触ることって意味があると思う。
もしも折れたら、その時に教えれば良いじゃない。
強く引っ張ったら折れるね。木さん痛いね。
そして、木さん、強いねって。』
アンドリューは『ふむ』と考えている様子。
『アンドリューはNYの都会っ子だし、
お父さんが1歳でいなくなっちゃったし、そう言う経験ないでしょ?
その上で、正しいことを伝えようと頑張っているから、
アンドリューの姿も素晴らしいと思うしその気持ちもわかるよ。
昔さ、うちで金魚が死んだの。
私が小学4年生ぐらいの時。
夜に父親が帰ってきて、お風呂から出た私の手に、
死んだ金魚を水槽からすくってのせてさ
”これが死んだって言うことなんだよ”
って教えてくれたの。
死んだ金魚の重みを手で感じたのは今でもすごく覚えている。
こうなるって、危ないことなんだ、死ぬってことなんだって肌感覚で知ったって
言う感じ?
でも、その一方で、それをみた母はえらい剣幕で怒ってたっけ。
そりゃそうだよね。
死んだ金魚は汚い、バイキンがあるかもしれない、
しかもお風呂から今出たばかりなのに!って。
そのあとさ、父親が『お墓を作ろう』って
私を外の庭に連れて行って、
庭の土を一緒に掘り出したの。
すごーい剣幕だったよ、お母さん。
もう、お風呂から出て綺麗になった私が、
パジャマも含めて砂だらけだもんん。
しかも、寝る時間もとっくに過ぎてたしね。
サンダルで外に追いかけてきてさ、
『もうやめなさい!』と言った母に
父が、
『今、人として、命の大事なことを教えているんだ!お前は、家に戻っていなさい!』
ってピシャリ。
私は、死んだ金魚のお墓をサッサと掘って、父の意向をすぐに満たしてあげて、
お母さんのところに戻ってあげなきゃって思っていたのを覚えているんだよね。
その後、また、お風呂に入れられたのかなあ、
覚えていないけど、
今も私が、外から帰ってきた後に、お布団にそのままの服装で入られたりするの、
すごく嫌だから、
きっとそれは母親譲りなのかもしれないなあー
まあ、何が言いたかったかっていうとさ、
その二人のアプローチってどっちも理解できるからさ。
だから、私は、木を折っても、その経験で、力加減を学ぶから、
人に対しては、そうあってはいけないって学べると思うのよね。
みているだけじゃ学べないことをがあるって言うのを
私は、父に教えてもらったから、
娘が枝を触っても、経験だと感じられると思うのよ。』
黙って聞いていた、アンドリュー
『私は、あなたから学ぶこともある。
娘に何かを伝える時、”スイートハート”って呼ぶでしょ?
特に、怒られる時って、自分を否定される気持ちになるけど
スイートハートって先に言ってもらうと
自分を否定ではなく、自分の言動を怒られているんだなって思うからさ。』
娘が大きくなるにつれて、
自分の中で、父と母の教えが鮮明に体感として出てくる時がある。
父は、全てがゲームだった。
母は、いつも理路整然としていた。
父は、ご飯粒をお茶碗に残さないことも、ゲーム感覚で教えてくれた。
母は、御行儀が悪いとよく言っていた。
父は、自分のポケットに札束が入ったまま洗濯されたのを気づいて
太陽の光がよく当たる応接間の窓に一枚ずつ万札を貼り付けていた。
『何しているの?』と言ったら
『お札を洗濯したから 太陽の光で乾かしてるんだよ。
きっとピン札になって、もっとお金持ち気分になれる。』
それを見た母は
『そんなことをしたら、外から見てる泥棒に全部持ってかれるから、
結局は貧乏人になるわよ』
と言ってた。
どちらの意見も、私には興味深かった。
父からは発想の転換を学び
母からは常識を学んだ感じだ。
どちらも大事。
だから、多分、アンドリューの考えと私の考えの両方があって良いんだと
現時点では、そんな考えに落ち着いていますが、
今後どうなることかしらん。。。

(*嗅ぐだけだよ、嗅ぐだけ、とアンドリューに散々言われて、手を使わずに
顔だけを埋めて匂いを嗅ぐ娘)
モノクロから虹色へ
と言ってた。










































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