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天と地と繋がる感覚


この機械で最近はずっとワークアウトをしている。

初めて使ったのはいつだっただろうか?

多分8年ぐらい前。

私がクラシカルピラティスに初めて出会った時、

クラスでこの器械を使ってのレッスンがあった。

体はあっちこっちに持って行かれるし、

腕は下がらないし、

肩は痛いし、

なんだよ、これ!

って思っていた。

こんなもん、誰が使えるんさ!って思っていた。

『オペラ歌手のために、ジョセフピラティス氏が作ったのよ』

そう言うインストラクターに、

『私、オペラ歌手じゃないから、やれなくていいもん』

と自分に甘い言葉を発したくなる。

その隣りでなんなく、このエクササイズで片足立ちをしている人を横目で見て

自分が学んできたそれまでの運動的なピラティスをすごくすごく恨めしく思った。

私って一体何を学んでいたんだろう。

あの日に悔しくて泣いて帰ったのを覚えている。

そこから、新しくクラシカルピラティスを学ぶ決意をして、7年がたった。

特に産後のピラティスは、私にとっては劇的な変化を自分の体に与えた。

赤ちゃんを育て、産むために、どれだけ体が代償を払っているのかを

ピラティスをすることで身をもって理解した。

いま、思うと

あの頃と全く違う動きをし、あの頃と全く違う考えを体に対して持って

自分が成長してきた7年だった。

そして、この間、久しぶりに『これ、やってみる?』と自分が受けているレッスンで

言われた時に

私の心臓は爆爆した。

これだけやってきて、またあのザマだったら立ち直れるかしら。。。。

そんな表情を見せた時、

初めて私にクラシカルピラティスを教えてくれてこの7年を見てきたインストラクターが言った。

『もう、あの頃のあなたとは違うから、大丈夫よ』

わかった、乗ってみる。

そう言って、私はこの小さなプラットフォームに足を乗せた。

私の背骨を支えているのは、たった一本の支柱。

ここに自分の背骨を沿わせて、

呼吸を合わせて、、、、

ダメだ、肩に力が入っちゃう。

(*それが上記の写真)

『いず美、もうあなたができるのは分かっているから、

 リフォーマーでこれまでずっとやってきたことを思い出して見なさい。

 寝ているところから、立つところへと、面が変わっても、

 あなたがすることは同じなの』

その言葉で、スゥッと一息呼吸をついた。

もう一度、背骨を支柱に合わせる。

ずっとずっとやってきたこと。

私の足の裏から、お尻へと一体化させること。

お尻に力が入った瞬間、

私の体が足から腕まで全てが、一体化して、腕をゆっくりとおろしている自分がいた。

左右のバランスがまっすぐ、あっちこっちに引っ張れる感覚もなく、

私の真ん中に一本の線が入ったように。

あ、、、、

この感覚。

これができる様になるために、

本当に私は7年間、たくさんリフォーマーと言う器械に乗って

体をつないできた。

自宅のマシンで赤ちゃんを寝かしつけた後、夜中にレッスンをした日も数知れない。

その中で学んできたのは、自分の体がどれだけ繋がった上で

「動かしている」のではなく、「動いてしまう」と言う感覚に繋がるかと言うこと。

ふと体をマシンが持ち上げてくれる感覚。

この運動、腕が強かったら、多分押せる。

同じことをやっているように見せることなんて簡単だ。

でも、私がずっとずっと学んできたのは、

力づくなのではなく、体が繋がることで、全てが簡単に、そしてあるべき位置へ誘われるということ。

そこに繋がれたその日。私は自分に対して、胸が震えた。

ずっとずっとたどり着きたかった私の生き方に、

ちゃんと体が反応をしてくれた感じがした。

力づくで行くのではない。

自分が行くべき方向にふと、いとも簡単に誘ってもらえる生き方。

昔、10年ぐらい前だろうか、アーユルヴェーダの先生が私に言った。

『君の生き方は、シャケと一緒だ。

 あるべき行くべき方向への波に逆らって、

 もがくことで、生きることを感じようとしている。

 君がその流れに乗って行くことが、

 君の人生をもっと素晴らしいところへと運ぶのだよ。』

と。

頭でいくら考えてもわからなかった。

いくら本を読み漁っても、

いくら素晴らしい先生の講義を聞きに言っても、

わからなかった。

結局、体感することで、私は、その感覚を理解した。

そして、体感して行く過程で私はその意味がようやくわかるところに来た気がする。

そんな自分に感動をしていたのだ。

人生でどれだけ自分に感動ができるだろうか?

どれだけ、感動をするというギフトを自分に与えられるだろうか?

『で、き、た』

そう言うと、

Yes, my dear

とインストラクターは静かな声で言った。

この器械から降りた時、私の体は天と地をまっすぐとつないでいる感覚があった。

帰りの車で、あの日のように泣いた。

でも今回の涙は、この器械を繋がって使えた自分に今度は、感動して泣いた日だった。

10年前の私と、今の私は生き方が違うと思う。

もちろん、素敵な人に出会い、素敵な友達に囲まれ、素敵な仕事をさせてもらい、

そして、結婚し、出産し、怒涛の10年だった。

ただ私は、このクラシカルピラティスに変えて7年で

体感して来たことが自分の人生に反映していると感じている。

肩がつり上がっている人に、リラックスといっても難しいように。

怒り顔の人に、幸せを感じろというのが難しいように。

体と心は一体だと本当に思う。

自分の経験、クライアントさんの経験を通じて。

私は、このピラティスを通じて、体の使い方・あり方が変わり、心のあり方・使い方も変わったと思う。

こんなピラティスを経験できて、

こんな自分になれて、それを指導できるインストラクターになれて

そして、

これを、これからシェアできるインストラクターさんが

4月にサンディエゴに来て私の講習を受けてくれるかと思うと

私の胸は高鳴る一方。

今日も、この感覚をどんなふうに伝えようかなと考えながら、

教科書づくりに励みます。

モノクロから虹色へ

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