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心が離れて行くって2

前回の続き

『じゃあ知らんよ』

そう言い放ったアンドリュー。

私は知っている。

匙を投げ出されたわけじゃない。

匙を投げ出されたと言って、相手のせいにしたいだけ。

わかっている。

自分の不満をちゃんと自分が理解してあげることを怠ると

相手とは繋がれない。

そして、ずっと相手に不満を持ったまま、生きることになる。

そして、心が離れて、相手に興味を失っていく。

そしてこう言うだろう。

私の不満はあなたとの関係の中から出てきてる。

だから、あなたが私を不満にさせているに違いない!どうにかしてよ!

その立場をとったら、たぶん、

心が冷めて離れて単純に赤ちゃんを育てるための資金という旦那のポジションが

確定されるパターンを作り出しそうな勢いだった。

これって、私が本当に欲しいものか?

どうする、いず美!

漫然と渡りゆく不満。

その日の夕方、

数日前からアンドリューが帰って来たら作ろうと思って計画していたお好み焼きを作った。

有名なお豆腐屋さんのおから

美味しい海鮮

小麦粉の代わりのサイリウム

最強味付けの茅野やのだし

全部、素晴らしい食材だった。

ただ、不満の中で作ったお好み焼きは、ゲロにしか見えない。

アンドリューは、ある程度食べてくれたが

そのあとポテトチップスを食べた。

(なによ、せっかく作ってあげたのに。)

お皿に残ったお好み焼きをみて、自分もお好み焼きを食べた。

くそまずい。

いい食材と、いい海鮮しか使っていないのに、

どうしたらこんなにクソまずくできるのだ?

と、首がもげるほど首をかしげたくなった。

そのお好み焼きは、まるで、私の心象風景を表してる画のようだ。

アンドリューは、その夜もまたミーティングに出かけて行った。

同じことの繰り返しが始まった。

全部キッチンを綺麗にして、洗い物を済ませ、

二階に上がり、

お風呂を洗って、

お湯を張って

赤ちゃんのオムツを取って

私も一緒にお風呂に入る。

片手で抱っこしながら、

もう片方の手のひらで、自分の顔をラグビー選手のように洗った。

ここ何ヶ月も洗顔フォームなんて使っていない。

そんな優雅なことをする暇があるぐらいなら、赤ちゃんが泣かないうちに寝かしつける方が先。

ふとお風呂から出た自分を見たら、疲れた顔をしていた。

妊娠後の体のたるみ

抜け毛の後、生え戻ってきたまとまらない髪の毛

片手でまで洗った顔のくすみ

寝不足による目の下のクマ。

そして、

それらを吹っ飛ばすぐらいの私の唯一の取り柄の元気印の笑顔も消え失せていた。

そんな自分を見て、私はまた生き生きと出かけて行くアンドリューを思い出し

釈然としない感情でいっぱいになった。

真っ裸で赤ちゃんを追いかけて、オムツをようやく取り付け

寝返りをゴロゴロする彼女をプロレスの選手並みに足技で固定し、寝間着を着させた。

唯一救われるのは、彼女の笑顔と可愛らしい声だった。

彼女をまた寝かしつけながら、私は暗闇の中で泣いた。

何かが違う。何かが違う。

そう心の中でさけびながら

電話を片手に、『ねえ、、、、』と大好きな友達にメッセージをした。

彼女は、私の話を丁寧に聴きながら、自分の話もしてくれた。

その中で彼女が言ったことが私の中でハッとした。

『おっぱいが終わるまでは彼にも入れない私達と子供のボンド(繋がり)がある。

 それは、私達にはわからない彼らの寂しいところでもあるよ。

 私は言われたよ〜〜

 子育て少し落ち着いたら

 寂しかったって

 もしかしたら、アンドリューが埋めたい気持ち、

 仕事やワークショップで紛らせてるのかもしれないね

 ただただ 赤ちゃんといずみの間には対等に入ることができないんだよね

 そこだけは、私達が努力して変える事は出来ない。

 だから、認めるしかないんだよね〜〜、アンドリューが。

 で、認めてるんだよ。

 だから自分の居場所ややる事を仕事やワークショップで

 なんとかしようとしてるのかもな。』

ああ、そうか。。。。

彼女のシェアで、自分の釈然としない不満がわかった。

私は

彼にワークショップに行かないで欲しいわけでもなく

私はこんなに犠牲にしているのだ、、、なんていう気持ちもさらさらなく

彼に私たちのことを放っとかれている!という気持ちもなく

私も一人でどこかに出かけたいという気持ちもなく。。。。

ただ、彼と一緒にいるのに、お互いの共通の心の居場所がない感じがしていたんだ。

毎日の業務作業に追われて、

お互いがコネクトしている感覚が失われて、寂しかったんだ。

翌朝、アンドリューが寝ている私を仕事に行く前に起こした。

『ねえ、昨日の話、話し合いたいんだけど』

『うん、ありがとう、話しのきっかけをくれてありがとう。 

 私ね、気づいたの。

 私、嫉妬していたの。』

『嫉妬??』

アンドリューは明らかに困惑をしていた。

その彼を尻目に、私は話を続けようと一息ついた。

ただ、彼の目をまっすぐと見て言う気にはなれなかった。

だって、なんか自分の心の内を、真実を言うのって、私が負けた気になるから。

それよりも、

あなたのここが悪い、あそこが悪い、

って相手を非難してた方が楽。そっちの方が馴染みがあるんだもの。

『非難しながら、どうか私の気持ちを察してちょうだい』

21世紀にもなって、まだこの会話方法をしようとしている自分に呆れながら、

(その会話方法は非効率であり、誰も得をしないことを十分に理解はしている。)

と口に出してぶつくさ言った。

すると、

「しょうがねえ、心をオープンにするか!!!!」

という気持ちになり、腹をくくった。

 『うん、そう。

  私だって、アンドリューと一緒に遊びたい。 

  他の人が、ワークショップでアンドリューと遊んでいてズルい。

  私だって、アンドリューと一緒に赤ちゃんと遊びたいんだから。』

言いながら自分でもびっくりした。

こんなくだらないことで、私はずっとモヤモヤイライラしていたのか。。。と。

でもそのくだらないと思っていたことが、

私には大事だったのだから、認めるしかない。

くだらないっていうのは、クールな大人ぶった私がいうことであって、

真実ではないことが多い。

『そっか、そうだったんだな。

 じゃあ、どこかに旅行に行こうか?』

『そんな大げさに何かをすることなんじゃないんだ。

 一緒に笑っていれれば、どこだっていい。』

『じゃあ、それに何ができる?』

『えっとね、カフェでおしゃべり。

 大体の女の子は、そういうことするんだよ。

 おしゃべりして、一緒に笑ったら、もう十分。

 赤ちゃん真ん中にしてさ。

 美味しいチャイラテ飲みに行きたい』

『じゃあ、カフェに行って、おしゃべりしに行こうか。』

『うん。いっぱいおしゃべりして、いっぱい笑いたい。』

自分の不満にまみれる時、相手の立場に立って物事を見るという余裕が失われる。

でも、大抵は自分と相手は鏡になっている。

彼が居場所がなくて、仕事やワークショップに居場所を求める気持ちはよくわかる。

私も、彼と出会う前は仕事で自分の居場所を確認したかったから

仕事で自分の価値を見出そうとしていたもの。

居場所

一見、外見的にはあるようで、

それは常に働きかけていかないと存在しないもの。

つまり、私は結婚しているから「家庭」という居場所がある。

でも、それはあくまでも物理的居場所であって、

心の居場所は、常に働きかけて行く必要があるのだ。

私が一生懸命に彼のことを思って作った料理。

なんのためにしていたかといったら、結局は彼と笑ってお話して心を潤したかったがために作っていたんだ。

ビーツ美味しいね。

お好み焼き、美味しいね。

それを通じて私は心の居場所を得ることをしたかっただけ。

そして、

毎日、私は赤ちゃんとのことに一生懸命になっていて、

心の居場所づくりを後回しにしてきたなあ。

こっちは忙しいのよ

自分でなんとかしてよ

ちょっとはお手伝いもしてよ

忙しすぎてそんな言葉が出てきやすくなる。

自分の心の内側に繋がった素直な言葉を出すよりも、

そうやって相手が悪いとして非難する方が、結局楽なのだ。

相手に変わってもらえば、私の現実も変わるという幻想の名の下に。

ただ、もしも私がアンドリューで

そう言われていたら、どんな気分になっただろうか。。。。

すごい嫌な気持ちになるだろう。

言われれば言われるほど、距離を置くと思う

だから、

仕事やワークショップといった外へと心の居場所を求めるのは、とても頷ける行為だ。

非難する方法は、簡単だけど、結果がもらえない。

相手が依存症だったら話は別だが。

そんなことをふと思うと赤ちゃんがムックリ起きてきた。

『チャイラテを飲みに行こう!』

そう赤ちゃんを抱き上げて、話しかけている姿を見て

目に見えないけど、心の居場所が”ある”のを感じた。

私が大切にしているのは、その目に見えないけど確実に存在するもの。

それがなくなると、

目に見えるものをいくら持っていても、心は貧しくなる。

7月に日本で深い子宮のクラスをしようと計画を今練っているが、

そのサポートに入ってくれているリンダちゃんが言った言葉がある。

『自分としっかり繋がった上で他者と繋がった時、

 ものすごい愛の循環が起こると思う』

本当にそうだ。

ふと窓に映る自分の笑顔が、元気印でいっぱいになるのを見つけた。

モノクロから虹色へ

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