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ある1人の暗い女性の結末

更新日:22 時間前

「なぜ、いずみさんはピラティスを教えているんですか?」と質問をされたことがあった。


結論の回答から言うと

「私は出来るという経験を体で感じる必要があるから」

と言うのが一つの回答になる。


その他にもピラティスをすることが素晴らしい理由は沢山あるが


「私はできる」と感じる体験をすることが

どれだけ大切かを実感してきたからだ。


「私に出来るかな」


どんな悩みにしてもこれに尽きる気がする。


セッションをしていく中で

私がどうしたいとか、どうありたいか、と言うことをいくら話したところで

足止めを食らうのは、「私に出来るかな」っていう自分に対する疑問が

邪魔になる。


出来る気がすればどんどんとやっていくけど

出来る気がしなければ、夢がどれだけ素晴らしくても夢で終わる。


あるI Hセッションでのこと。


ある新体操の選手がいらっしゃった。


膝の怪我を過去にしたことによって、自分の動きが制限されるという。

いつも膝を庇うように、膝が痛まないように、練習も競技もしてしまうとのことだった。


彼女の望みは「のびのびと動く」で潜在意識からはゴーが出ていたし

本人も、のびのびと動きたいんです。


と心から願っていた。


でも、出来る気がしない。


また痛めてしまうかもしれない。


それが先走る。


それは理解できるのだ。だって、膝を今度痛めたら、それこそ選手生命に関わるから。

これ以上年齢的にも休むことはできない。

だからと言って、まだコーチになる気持ちはない。


10代なのにそんなことを考えているんだと驚きつつも、

体が何をして欲しがっているかを淡々と聞いていった。


すると、ピラティスが選ばれた。


ピラティスのエクササイズの何をするの?


そう思った時に、選ばれたのがフットコレクターだった。

ree

なるほど。彼女の膝は足の裏の弱さか繋がり不足が起因しているのか?

と思い、彼女にこの器具でのエクササイズを伝えた。


やっていく中で膝から押そうとする癖が見えて、

そこを丁寧にワークをした10分間だった。


終わった後に、歩き回ってもらうと


「全然違う。コレだったら伸び伸びと動ける!!!」


と言う言葉に体の感覚を取り戻すって、

頭で考えるよりもすごく速いのだと改めて感じた瞬間だった。



これはアスリートのお話だが


「私に出来るかな」は、アスリートではない方でもよくあることだ。


よく見るパターンは


「自分は出来ないから、他の人のせいにする」


と言うものだ。


「あの人がこうだったから、私がこうなってしまったんだ」

「あの時の状況がもっとこうだったら、私はこう出来たんだ」


特にフラストレーションが出てきた時には、そうなることが多い。


こう書いている私も、思い出せばそんな恥ずかしいことを幾度としてきたし

そこを指摘された時は、赤っ恥をかいた。


「だって仕方がないじゃないか」と


口を尖らせたが、

よくよく考えてみれば、

うまくいかない時に対応できなかった自分が誰かにその居心地の悪さをなすりつけたに過ぎない。


自分の事を小さいな、情けないなと思ったけど

言ってもらえたことで、自分にもっと責任を持とうと強く思った。


これもまたあるI Hセッション


「外に出て仕事ができない」


という1人のアメリカ人女性だった。

目がどんよりとしていて、暗い感じだった。


そして、

「私の祖父はホロコーストで色々な目に遭ってきた」


という歴史的なお話をしてくれる興味深い女性だったが


「元夫に凄くパワハラをされて、離婚をしたが、新しい妻とうまくいっていてムカつく。休日には、新しい女を旅行に連れていったり、この間はS N Sに料理を作って上げたんだって。私にはそんなの一切なかった。何度もそうして欲しいと伝えたけど、しなかったのに。そして、今の私はこんなに彼のパワハラで外に出て職につけない状態でいるのよ」


と話してくれた。


そして「彼に私がこんな状態になった責任をとってほしい」と

泣きながらマッサージテーブルの上で訴えた。


この責任という言葉が厄介なのである。


「彼が取る責任って具体的にはなんですか?」


そう私が聞くと

「天からの罰を受けるっていうことよ」


と言った。


「天からの罰って、具体的にはなんですか?」


そう質問をすると、少し黙った後に

「私よりも幸せになって許せないから、私以上に不幸になってほしい」

とのことだった。


確かに、責任って罰を受ける感じがある。


でも、責任というのは、

『うまく出来なかった』問題に対して、対応すること、対処することなのだと

私は考えている。


実際に彼女は莫大な慰謝料をもらい、金銭面では裕福に暮らしている様子だった。


もしも彼女のストーリー以外のこの事象の違った見え方があるのだとしたら、


彼が結婚生活がうまく出来なかったことに対して、離婚をして、

彼女の経済的状況の面倒を見る形で対応をした。


そして、自分が今度は結婚生活をうまくいくように、努力をするという対応をしていると見ることもできる。


私は彼女にこう聞いた。

「もしも彼があなた以上に不幸になったとしたら、どう変わりますか?」


そう質問すると、彼女は

「そうね。許せるかもしれないわね、彼が今までしてきたことを」


と答えた。


「彼が不幸になることを彼を許せたら、あなたの人生はどう変わるんですか?」


そう重ねて質問をすると、目をウロウロさせながら思い付かない様子でいた。


そして、「まあ、私がようやく幸せになるのかもね」

と絞り出して言った感じだった。



私はその彼女にもう一度質問した。


「では、彼が幸せでいる限り、あなたは幸せにはなれないという事を決めたということで合っていますか?」


「そういう訳じゃないけど」


「そうやってまだ彼の状況にあなたの幸せは左右され続ける事でいいって事ですか?」


「確かに、そうなるわね」


「それだと、結婚している時と離婚している時と同じ状態にいることになりますね?」


その女性は黙りこくった。


「離婚して、何を手に入れたかったんですか?」


「彼のパワハラから解放されることよ」


「解放されたら何が手に入るんですか?」


「自由とか新しい楽しい生活」


「でも、離婚したのに今でも同じ状況を作り出しているのに気づいていますか?」


「あなたに言われて気づいたわ」


「自由とか新しい楽しい生活に向かって動いていきたいですか?」


そう聞いた時に、彼女が私を見てこう言った。


「それは望むけど、私に出来るかしら?」



私は一息ついて彼女に言った。

「この世界に自由に新しく楽しい生活を送っている方っていらっしゃいますか?」


すると意外な答えが返ってきた。


「そうね、元夫だわ」


私は驚きつつも、こう伝えた。


「この世に1人でも出来る人がいるのであれば、あなたが出来ないという理由にはなりません。だって、出来ている人がいるんですから。ということは、あなたは、やらないということを選択しているのでしょうか?」


彼女はこう言った。


「彼にいつもやれって言われて、私は凄く苦しかったの。

 出来ない事をやれって、それってパワハラでしょ?」


「何をやれって言われたんですか?」


「自分の好きな事をやれって。でも、私は彼じゃないもの。

 好きなことなんていわれてもわからないわ。

 自分で会社を立ち上げて、好き勝手にやってきた人にはわからないのよ」


彼女が自分の好きな事をやれと彼に言われた言葉に

筋肉は大きく反応をした。


そして、彼女の潜在意識の望みは

「自分の好きな事をやること」

となった。


彼女はずっと「そんな事、できるかしら?」と呟いていた。


でも、私は、潜在意識と会話する方にギアを切ってそのまま進めていった。


すると潜在意識からのホームワークで、『始める事』というのが出てきた。


「あなたが好きな事をやるために、何かを始めよというホームワークが出ています。

 それはなんですか?」


「え…」と考えた後


「あなたのホームページを見て、ピラティスを教えているってあったけど、 

 あなたのピラティスのレッスンを受けてみようかしら」


と言って彼女の潜在意識は反応をした。


それを伝えると

「でもそれって、私がやりたいことってピラティスのインストラクターになることってことかしら?」


と、また自分の人生の責任を何かに転換をしようとしていたので、


「きっとやるうちに見えてきますよ」


と私は伝えて、翌週からレッスンを始めることにした。



そして、彼女がやってきた。


この日のために、買って来たのであろう高いブランドのピッタリとしたヨガウェアを着ての登場。


初めてのレッスンに緊張をしている面持ちで、レッスンをスタートした。


そして一つやるごとに「無理無理無理」と言っていた。


無理という言葉が先行して、体がそれに反応をしているので

レッスンの途中で私は彼女に伝えた。


「マインドとボディは、一つです。

 無理って言った瞬間にあなたの体は無理であるように動きます。

 

 実際に私はそんな難しい動きはさせていません。

 ピラティスの動きっていうのは、実生活の動きと一緒なんです。


 この動きだって、靴下を履くときの体勢と一緒ですよね?


 もしもこれを無理だというなら、

 あなたは靴下を履けないと言っているのと一緒です。


 自分にもう制限をかけるのをやめませんか?


 もっと自分ができる存在として扱ってもらえませんか?」


「私にできるかしら?」


「できるかしら?ではなくて、出来るようにしていくんです」


「やったこともない事を出来るかしら?」


「やったこともないから、失敗を沢山してできるようになるんです。

 ここは失敗と成功を体験する場所です。

 私はあなたは出来るようになると信じています。


 だから、今は黙って、失敗をしてください。

 自分に失敗する許可を与えてください。


 出来ない気がするから、やらないっていうのは自分を見くびりすぎです。


 あなたは出来ます。出来る日が来ます。


 もしも私を信じられないなら、危ないだけですから、今日はこれでやめましょう」


そう私は座っている彼女の腿に手を置いて伝えた。


彼女は、私の話を聞いた後、

「この体勢からのスタートで良かったかしら?」

とさっきまでやっていたエクササイズの続きを始めた。



「全然違います」


そういうと


「ほら〜出来ないじゃない!」


と言ったので、私も笑って


「出来ないところから始めますよ」


と言って、レッスンは再開した。


半年ほど週3回通い始めた彼女は、みるみる内に体が強くなって行った。


そして失敗しても大丈夫なようになっていった。


出来ないと諦めるのではなく、悔しがるようになった。


そして、ふにゃふにゃだった筋肉が綺麗なラインを描くようになった。

もちろん、半年の中に、出来ないと泣いた日もあったし、

自分はダメかもと落ち込んでいる日もあった。

元夫からされたことを話す日もあれば、そんな自分を客観的に振り返る日もあった。


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そんなある日、「彼女は今日デートに行くの」と教えてくれた。


「へー!どんな人?」


「知らない!友達の紹介で初めて会う人だから」


「え?大丈夫?ヤバい人じゃない?」


そう聞くと

「大丈夫。ヤバい人かどうかもう色々調べたから」


半年もあれば、人は変わるのだと彼女を通じて教えてもらった。

それ以上に彼女のスピリットがイキイキしていた。



きっと以前の彼女だったら

「無理」って言っていかなかったんじゃないか?と思う。


失礼だと知りながら、それを伝えると、


「あーそんな事もあったわね。あれは傷心していたのよ」


とサラリと返答をした。


そんな彼女に逞しさとエレガンスさを感じながら、

「じゃあ、しなやかで軽やかな体にしましょか」

というと


「いや、セクシーな体にしてちょうだい」


と注文すら伝えてくるぐらい彼女は明るくなっていた。


「じゃあ、自分を大切にする人ってセクシーだから、そこに向けてレッスンをしましょうか」


「オッケイ」


それが最後のレッスンだった。


その日のデートが、かなりうまく行って、彼と会うことに時間を費やしていく毎日になり、彼の住んでいるタウンに行くことが増えて、私のところに来る時間は無くなった。そして、1ヶ月後には引っ越すことになったと連絡が来た。


「もう一度Izumiに会えたら」


そう彼女は言ったけど、私は彼女の変容を見させていただいただけで

もう十分だった。


あの暗かった女性はもういない。

あの責任転嫁の女性はもういない。


私がピラティスを教える理由がここにある。


うまく何かができるように見せることではない。

体を使って、失敗を経験すること。

失敗の先に、成功が待っている事を体験すること。

それも一度じゃなく、何度も何度も。


そうしていくうちに、自分にとって失敗が怖くなくなる。


そして、「私に出来るかな?」ではなく、


「やろうと思えばで私は対応できる」


出来ない理由ではなく、やらない理由が出せるようになる

(それがコントロロジー)


そして、責任を取れる自分になる。

つまり、うまく出来ないことに対処する力が自然とつく。


そうすると、「私がこうなったのは、〇〇のせいだ」が言いにくくなる。

それよりも


「私がこうなったのは、〇〇をしたら良かったのかな?」になる。


何もしないで、失敗を恐れ、

責任の所在を誰かに転嫁することは

自分の人生を甘く見てるってことだと私は思う。


だからピラティスを教えているというのが一つの理由です。


おっと!

来週、一般向けのビギナー用Yamuna+マットピラティスのクラスをします。


一つはサンディエゴで対面で行います。

8月27日(水曜日)10時から

こちらはもう満員です。ありがとうございます。


オンラインはこちらです。

L A時間 8月29日(金)午後16時から17時半

日本時間 8月30日(土)朝8時から9時半


クラス費:$50


オンラインでクラスにご参加ご希望の方は

までご連絡をくださいませ。



参加には


ヨガマット

Yamunaボール(パールカラー)

タブレット(ズームが使用できるもの)

お水


が必要です。

ヤムナボール以外は使えませんのでご留意ください。


では、オンラインでお待ちしております。


 

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モノクロから虹色へ

 
 
 

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