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誰かいるということ

昨日は、私の助産婦さんであるポーラの予約の日でした。

なかなか、今の時点でつわりに悶えているために

自分の出産をどうしたいかなんて考えにくいというか、

そこのワクワクまで到達していない私は、ポーラに会うことを躊躇していました。

この状態でポーラに会ってもねえ

と。

でも、アンドリューは

『君はポーラに会ったほうがいい』の一点張り。

こういう時の彼の勘の鋭さは、本当に冴えているなあと感じます。

昨日、ガーリックをまた性懲りも無く食べた吐息に殺意を覚えたことを

チャラにしてあげようと思うぐらい。

こんな疲れきたひどい顔で、どんな顔して会えばいいんだか、、、、

そんな外面の私は、ポーラに会った途端の彼女の笑顔を見て

足が地球にしっかりと根付くというか、

ホッとしたのを感じました。

『2人っきりにするよ』

そうアンドリューが初めの10分の挨拶を終えた後に言って、

娘を連れて出ていきました。

『で、、、、いずみ、How are you ???』

『well..... I am.... OK....』

とまで言えたのか、言えないのかというところで奥歯がギュウッと痛くなりました。

喉仏が詰まって、嘘を言っている自分に気づきました。

『元旦にね、車から衝動的に飛び降りようとしちゃったの。 

 本当に、母親失格でしょ。

 自分で頑張りすぎているのもわかる。

 だから、いっぱい寝て、休んでる。

 もう、このつわりから早く解放されたいの。

 アンドリューにも八つ当たりばかり。

 自分が自分じゃなくなる感覚がとても辛いの。』

『oh,,,, honey......』

そう言って、うつむく私の顔を覗き込んで、

『一つ言わせて。

 私もね、特に二人目ができた時、旦那を殺そうと思ったの。

 つわりがきつくてね。

 本当にそれを理解しないように見えた彼が憎くて、文字通り、殺そうと思ったのよ。

 娘の父親を殺すなんて、母親失格かもしれない。

 でも、そんな理論なんてわからなくなるぐらい、殺意で私は一杯だったわ。

 そして、それって、よくあることなのよ。

 人が死んだり、殺したりすることなんて、

 本当に一瞬の魔がさしたことなのだと思うわ。

 冷静に考えたら誰だって馬鹿げたことだとわかるもの。

 でも、そんなことが分からなくなっちゃうぐらい追い詰められた状態になるのよ。

 1人目のつわりとは、違う。

 2人めのつわりは、休んでいられない。

 自分のカラダを優先にできないものね。

 特にこの家族が近くにいない状況だと。』

『じゃあ、どうやって、4人も子供を産む決意をしたの??』

『そうね、だから、2人めと3人めの間が10年離れたのよ。

 あの状態に自分がなるかと思ったら、恐ろしくてね。』

『そっか、、、、』

『ええ、あなたが感じてること、経験していること、すべてよくある事なの。

 でね、たくさんの女性を見てきたし、私も言えることなのだけど

 2人目ができてね、1人めの子があまりにも可愛くて

 2人目をなおざりにしちゃうんじゃないかって思ったり、

 1人目ほどちゃんと面倒が見れないんじゃないか?って

 不安になったりするかもしれない。

 もちろん、一人目と二人目では、かける時間は違うわ。

 ただね、いずみ、すごいことを教えてあげる。

 私たち女性のハートってね、

 100を一人目に50、二人目の子に50ずつあげるんじゃないのよ。

 私たちのハートって、

 想像以上に大きくて、二人の子を100ずつ、

 もしくはそれ以上に愛することができるぐらいなの。

 そのハートが拡大するのを経験できるって凄いことなのよ。

 今は、私の言っていることがわからないと思う。

 でも、ただ、ホープとして、頭の片隅に置いておいてくれたらいいわ。

 そして、あなたが自分のハートの大きさに感動をした時に、

 私にあの時の言葉がわかったって教えてちょうだいね』

そう言ってウィンクしたポーラ。

初潮の時もそうだった。

自分が信頼している人から、どんな経験になるのかということを教えてもらうだけで

自分のその後の経験が変わってくる。

母は、初潮は素晴らしいことだと教えてくれた。

母は、陣痛は素晴らしいことだとも教えてくれた。

だから、

子供である私にとって、初潮も生理も陣痛も両方とも、

ネガティブなイメージが一切ない。

そして、今、ポーラが言った。

二人目の子供を持つことは、自分のハートが拡大する素晴らしい愛の経験だと。

きっとそうなるのだろう、、、、

誰が自分の周りにいるかは、とても重要だ。

そして、自分の暗い部分を話せる相手も、重要だ。

今まで会ってきた産婦人科の先生は、ここまで話す時間もなければ、

私のことを知らないし、知る時間も作れない。

面会は10分ぐらい。

赤ちゃんの鼓動を聞いて、正常ですって言われて終わり。

だから、機械的な話で終わってた。

でも、ポーラは私のことを、今まで会ってきた産婦人科医よりも知ってる。

私の赤ちゃんの鼓動を聞いて、

『すごく強い鼓動ね。生きる力が伝わって来るとってもいい子だわ』

と我が子のように喜び

私のおしっこを一緒に見て、

『すべて正常ね。ほら、このリトマス紙の色を見て見なさい。

 つわりで辛いけど、体は一生懸命頑張ってるわね』

と声をかけてくれる。

私の娘を見て

『なんてスマートな子なのかしら?

 生まれた時にこの子の目を見た瞬間にオールドソウルだと思ったけど、

 本当に賢い子ね』

と本当か嘘かわからんけど、親としては嬉しいことを言ってくれる。

出産時間のほとんどを私の横でじっくり待ち、

私の頬を持って、『いずみ、あなたは強い女性よ。大丈夫。乗り切れるわ』と

私以上に私を信じてくれた。

私の子宮に手を入れて、子宮内部に残った私の胎盤を剥がし出し、

私の赤ちゃんを取り上げて、私の胸においてくれた。

私の膣の裂け目を縫って、私の体を64歳で抱えて二階まで運んでくれた。

いつも私の赤ちゃんに対する想いを2時間、3時間かけて聞いてくれた。

私は、こんな女性が私の出産チームにいてくれて、本当に心強い。

きっとこの心強さが私に、出産を乗り越えさせてくれたんだと信じてやまない。

帰り際に、ポーラが言った。

『いずみ、一つだけあなたは嘘をついている。

 それだけを訂正させて』

『なあに?』

『私は、素晴らしい母親であるって、今日から毎日言いなさい。』

『えー素晴らしくないよ、そんなに』

『いいえ、私はずっと見てきた。あなたは素晴らしい母親よ。

 だから、あなたは嘘つきなの。

 これから「私は素晴らしい母親」だと、そう言いなさい。

 私は、そう言ってきたの。

 パーフェクトな母じゃないかもしれない。

 それでも、私は素晴らしいこの子にとっての母親っって。

 そしたら不思議とそう思えてくるものよ。

 そして、それを言ってるとね、そうなってくるのよ。

 そして、そうなってくるとね、子供もあなたの人生もそうなってくるのよ。』

サッチャー首相の言葉で私も子宮のイントロクラスでよく引用する。

考えは言葉となり、

言葉は行動となり、

行動は習慣となり、

習慣は人格となり、

人格は運命となる。 Watch your thoughts, for they become words.

Watch your words, for they become actions.

Watch your actions, for they become habits.

Watch your habits, for they become character.

Watch your character, for it becomes your destiny.

やっぱり、

私は、こういう強い女性に出会い、

彼女の元で妊娠・出産・育児の大切な時期を過ごせることに感謝でいっぱいだ。

いろんな人が私が

この年齢で自宅出産することに、危機感を覚え考え直した方がいいと言ってくれる。

でも、私は、この年齢で出産するからこそ、

私のことをフィジカルにも、メンタルにも、スピリチュアルにも理解し、

私のことを愛し、

一緒に喜び、一緒に感動し、一緒に悩む、

そうやって

私のことを大切に扱ってくれる女性が近くにいてくれることの方が、

安心して、出産に臨めると心から思う。

『私は素晴らしい母親だ』

魔法の言葉のように口ずさみながら車に乗ると、

バックミラーで目があった娘が大きくニッコリと私に微笑んだ。

単純な私は、『そうよ』と、この天使から言われた気がして

心の奥がくすぐったくなった。

モノクロから虹色へ

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