
IzumiTakiguchi
- 2018年8月31日
- 5 分
オムツタイム
親になって2日目の夜。 私もアンドリューも赤ちゃんの音に敏感になっていて、 少しでも赤ちゃんが寝言などの音を出すと 2人で飛び上がって、同時に2人で赤ちゃんのカオを覗き込みました。 単に、音を発している時もあれば、おっぱいを欲している時もある。 そして、おむつを替える事が分かったとき、 アンドリューが『僕がおむつを替えようか?』と言いました。 『いいよ、私、出来るよ』 そう言いたくなる'いつも'の口癖 と それが出来ないバラバラの私の体。 あ、立ち上がれないやと思った瞬間に、少し私は悪いねえ〜と言う気持ちで 『うん、お願いして良い?』 と言いました。 今考えてみると、 どうして悪いなあと思ったんだろう。 どうして全部を自分でやろうとしているんだろう。 一緒に育てたいというパートナーがいるのに、 全部を1人で覆う私の習慣に1人で暗闇の中、苦笑しました。 私が、「お願い」と言うと彼は飛び起きて、娘の名前を歌いながら抱きかかえて 2人で組み立てたおむつ台へと彼女を連れて行きました。 彼女のおむつを替えている間、ずっとご機嫌に歌いながら話しかけている彼。

IzumiTakiguchi
- 2018年8月30日
- 5 分
産後直後のわたしのカラダ
『24時間はいずみの元を離れないで』とアンドリューに言い残して 朝5時に帰っていたポーラ達。 長い一日だった。そう言いながら私達は眠りにつきました。 それでも、神経細胞は休まらず、アドレナリンが噴出しているかの様に 赤ちゃんが少し音を出す度に、私達は一斉に飛び起きて 2人の間に寝ている赤ちゃんを覗き込むという瞬間が何度も続きました。 あの日は、寝たのかどうかも覚えていないぐらい。 それでも、ようようと陽が窓から入り込んで来て、私達は起きる事にしました。 『おトイレ、いきたい』 と尿を催した私。 私も赤ちゃんも、2人とも上半身真っ裸のおムツのみの状態。 「よっこらしょういち」 と呑気に自分にかけ声をかけて起き上がり、立ち上がろうとするが、 なかなか起き上がれない。腕で何とか支えても起き上がれない。 それを見たアンドリューが手を差し伸ばし、 彼にカラダを支えてもらって、ようやく起き上がれた始末。 『あれ?なんかカラダがいつもと違う』 起き上がると 出血が多かったせいか、頭が天井に向かった瞬間に、星が飛び、体全体がふらつく。 さて、立ち上がるか、とアン

IzumiTakiguchi
- 2018年8月25日
- 8 分
執着を手放す為に
前回の続き タコの様にニュルリと出て来た胎盤を見て、 助産婦のポーラとアシスタントのヘイリーがバタバタと動き出した出産後。 異様な雰囲気の中でポーラが機械的に私に情報を話し始めました。 『赤ちゃんが出て来てる。でも胎盤全部が出ていないの。 一部がカラダの中に残っているから、陣痛促進剤を打つわ。 今から太ももに注射を打つからね。』 そして、 『これは、ザイトフェン。口の中に薬を入れるからね。』 そして、 『今から、液体をカラダに入れるからね』 何の注射か何の薬か何の液体か分からないまま、 それでもポーラがやる事だからと絶対的な信頼を置いて 私は身を委ねました。 何が起きたのか後から聞くと 出て来た胎盤を見て、ポーラは全部の胎盤が出て来れなかった事に気付き 子宮口が閉まる前に手を入れて、残りの胎盤を取り出したとの事。 それを見ていたアンドリューは、 ポーラが子宮口に手を入れてねじって出していたと、後から教えてくれました。 わたし自身もその行程をあとからビデオで見て 『こんなに胎盤って大きいんだ!』と驚いたと同時に ポーラがそれを見てバタバタと動き出し

IzumiTakiguchi
- 2018年8月22日
- 6 分
赤ちゃん登場
前回の続き カウチに横たわった私は、片膝を持ち上げて、ダンゴムシの様にカラダを丸くする様に指示をされました。 でも、もう自分のカラダを自分で動かす余力が残っていない私。 アンドリューがカウチの裏に立って、私の代わりに膝を持ち上げてカラダを丸くするのを手伝ってくれました。 真っ暗な部屋の中でポーラが頭に登山用の懐中電灯をつけ その灯りだけで 私達は最後の行程に入りました。 ただならぬ雰囲気に犬のジェイミーはおとなしくしていました。 本来はジェイミーは、ペット用ホテルに預ける予定でした。 でも、ポーラが言いました。 『ジーザスが産まれてくる時に、 動物に囲まれて見守られながら産まれて来たッて言うじゃない? 私は、ペットも家族の一員なのだから、出産には立ち会うべきだと思うのよ。 その方が全部を理解して、新しい家族を受け入れやすいと思うわ。 それを今まで何度も見て来たから、私はジェイミーがいても大丈夫よ』 と。 もしも私が、病院出産だったら、きっとジェイミーは戸惑った事だろう。 でも、彼女は私の陣痛の始まりからずっとこの流れを見て来て 状況を理解しておと

IzumiTakiguchi
- 2018年8月21日
- 9 分
水中出産と陸出産のはざまで
ポーラとヘイリーが戻って来た17時。 ポーラの合図でアンドリューはプールにお湯を張り始めました。 その間、私は陣痛の来る度に、『ふうううううう』と呼吸をしていました。 その『ふうううの声が高すぎる』と何度も直されるものの、 低い音にする事が出来ない私。 痛くて痛くて痛くて痛くて、声まで気持ちがまわらない! スクワットをしたり、横になったりと色々な体勢をしましたが、 横になっているのが一番楽でした。 でも、「横になっていると出産の行程が遅れるから」とポーラに言われて 起き上がった瞬間に、うぎょおおおおおおと叫び、カラダをねじりたくなるほどの痛み。 体勢を変えると、重力で子宮の位置が変わるのか、劇的な陣痛がカラダを襲います。 ニュートンめ!!!! 重力を発見しやがって。 あまりの痛さに、ヘイリーが私の仙骨に電流を流す機械をあてました。 ビリビリと流れる電流に、陣痛の痛みから別の感覚に意識を飛ばす事が出来て 楽になったと言えば楽になりました。 そう言えば、人間は二カ所同時に痛みを感じる事が出来ないって、言っていたっけ。。。。 そんな事を頭の片隅で思い出

IzumiTakiguchi
- 2018年8月21日
- 6 分
出産始まる
7月17日 2:30am 明らかにいつもと違う痛みを感じ始め、目が覚めました。 アンドリューを起こして 『陣痛が始まったっぽい』 そう伝えると、彼は一目散に一階に行き、プールの準備をし始めました。 『早いって。 early labor は数時間から数十時間かかるって言っていたじゃない、ライザ先生が。』 そう苦笑しながら、彼の「待ってました感」に幸せを感じながら ここからどんな風になっていくんだろうと、心が高鳴りました。 『ねえ、ライザが言ってたじゃない? ここから長丁場が始まるから、あまりエキサイトしないで寝なさいって。 』 すると アンドリューがワインを持って来て、 『最後の2人っきりの時間に。そしてこれからの新しい2人の未来に』と 乾杯をして飲んで寝ました。 助産婦のポーラからも 『41週の時点で既に赤ちゃんは充分に育っているから、 あなたがワインを一杯飲んでもなんの問題もないわ。 エキサイトして寝れなくなる位なら、ワイン飲んで寝て欲しい位よ』 と言われていたのもあって、2人で二口ほどワインを飲んで寝ました。 どれほど寝たでしょうか? 数時間

IzumiTakiguchi
- 2018年8月19日
- 4 分
出産方法の決断
出産のほんの数週間前まで、私は出産場所について迷っていました。 病院出産をするか、それとも、自宅出産をするか。 ほぼ病院出産で決まっていた所での、まさかの自宅出産の選択肢も出て来たとき、 私は本当に迷いました。 今更、助産婦のポーラに会っても私は、彼女と繋がれないんじゃないか?と。 アンドリューが言いました。 『頭で考えるのではなく、オプションが出て来たのだから、会ってみれば良い。 自分の中の直観にフォーカスをしてたら、ポーラに会って話したら、 きっと君のとってベストがなんなのか分かると思うよ』 と。 ポーラと久しぶりに会って、私は一瞬にして 彼女とつながりました。それは以前のブログに書いた通りです。 私達は一緒になるべくしてなったという、運命の糸につながれていたんじゃないか?と 月⑨ドラマのヒロインのような想いになるぐらい。(BGMはもちろん小田和正) アンドリューに確認もせず、 私はポーラと会って、その場で60万円の小切手を 何の迷いもなく切りました。 きっと私が一番大切だと思う事をアンドリューも望む筈だから。 彼女のオフィスを、水中出産用の

IzumiTakiguchi
- 2018年8月18日
- 3 分
出産を終えました。
2018年7月18日に赤ちゃんが産まれて、今日で1ヶ月が経ちました。 怒濤の一ヶ月で、あっという間だった気もしますし、 一日一日がとても長かった気もします。 今振り返ってみると、よく泣いていた一ヶ月でした。 『こんなに小さな小さな幼子をどうやって私は育てていけば良いの?』 『私は十分な母になれるのかしら?』 胃の裏側から底上げて出て来る奇妙な気持ち悪さが込み上げてくる瞬間。 その胃の裏側の感覚を感じる度に、不安をカラダ中がまとう感覚。 『肚を決めなさい』 そう、どこからともなく声が聞こえてきて、 それに抗うかの様な、 いや、そんな大役出来るかしら?という逃げ腰のエゴも出て来て すると、 It is all about you だな(自分の事ばかりしか考えないんだな)という声も聞こえて来て 色んな感情が波の様に私をざぶんざぶんと飲んでいるかんじでした。 そして、本日自分の出産シーンの映像を初めて見ました。 赤ちゃんが自分の膣から出て来る数分間。 真っ暗な部屋の中で、頭につけた山岳用の懐中電灯の灯りだけが まるで赤ちゃんをこっちの光へおいでと誘うかの