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出産始まる


7月17日 2:30am

明らかにいつもと違う痛みを感じ始め、目が覚めました。

アンドリューを起こして

『陣痛が始まったっぽい』

そう伝えると、彼は一目散に一階に行き、プールの準備をし始めました。

『早いって。

 early labor は数時間から数十時間かかるって言っていたじゃない、ライザ先生が。』

そう苦笑しながら、彼の「待ってました感」に幸せを感じながら

ここからどんな風になっていくんだろうと、心が高鳴りました。

『ねえ、ライザが言ってたじゃない?

 ここから長丁場が始まるから、あまりエキサイトしないで寝なさいって。 』

すると

アンドリューがワインを持って来て、

『最後の2人っきりの時間に。そしてこれからの新しい2人の未来に』と

乾杯をして飲んで寝ました。

助産婦のポーラからも

『41週の時点で既に赤ちゃんは充分に育っているから、

 あなたがワインを一杯飲んでもなんの問題もないわ。

 エキサイトして寝れなくなる位なら、ワイン飲んで寝て欲しい位よ』

と言われていたのもあって、2人で二口ほどワインを飲んで寝ました。

どれほど寝たでしょうか?

数時間だった様な気がします。

朝7時位にまた目が覚めました。

陣痛が少しずつ強くなって来て、アンドリューが陣痛の間隔を測り始めました。

7分ごとに起こる陣痛。

既に規則的になっている陣痛。

アンドリューがドゥーラのグレイシーに電話をして来てもらいました。

グレイシーの顔を見てホッとした私。

アンドリューがいる事も私にとっては心強いのだけど、

やっぱり出産をした女性が私のそばにいるのは、男性とはまた違った安心感がありました。

『how are you doing, mama? 』

と聞くグレイシーにまだ笑顔が出来る余裕の私。

ただ、陣痛が今度は6分ごと、5分ごと、、、とドンドンと縮まっていきました。

私の中では、お産に対する準備は万端でした。

キネシオロジーでカラダが必要としている栄養も補充していましたし、

ヨガを毎日行って骨盤を開いていましたし、

ハイキングに毎日行って、足腰の筋肉をつけていましたし、

yamuna Body Rolling ®で、恥骨周辺もちゃんと刺激をしていました。

ドンドンと縮まる陣痛の間隔に、

内心『余裕で3−4時間で終わりますね、こりゃ』と思っていたほど。

微弱陣痛ってなんですか?というほど強い荒波の陣痛にもまれながら

私は3分間ごとの陣痛を待ちました。

その間、グレイシーに『歩きましょう』と言われて、

赤ちゃんが早く降りて来れる様に家の中をグルグルと歩きました。

助産婦のポーラがアシスタントのヘイリーと到着をして

赤ちゃんの心音や、私の心拍数などをチェックした後、

子宮口をチェックしました。

『いずみ、今、子宮口がどれ位開いているか聞きたい?』

そんなふうに私の意向を逐一確認してくれる彼女の優しさを感じながら

『Yes』と答えると

『2㌢よ』と。

こんなに陣痛の間隔が短いのにまだ2㌢?と思っただろうけど、

出産の準備が出来ている私ですもの、そんな風には思いません。

クラスで大事なのは子宮口が何㌢開いているかではなく、

「子宮口の厚さがどれ位薄くなっているかです」と教えられて来ました。

即座にコーチのアンドリューも『effacementは??』と子宮口の厚さを聞きました。

すると、『90%ね』と。

なになにあと10%で子宮口の厚さがなくなるなら、

一気に2㌢から広がるかもしれないじゃないと思っていると

アンドリューもそう思っていた様子。

『早く3分ごとの陣痛が1時間続いて、すぽんと出てくれるのかしら?』

なんて余裕だった私。

その逆にポーラが『もう少し時間がかかるから出直すわね』と言って帰っていきました。

グレイシーも一旦、’自宅に帰る’との事。

『ちゃんと寝るのよ。体力温存するのよ』

そう言い残して、

家はまたアンドリューと私と犬のジェイミーの3人だけに静まり返りました。

女性3人がいなくなった途端、急に心細くなったのか

たまたまなのか、私の痛みはドンドンと激しさを増していきました。

寝なくちゃ、、、、そう言いながら、二階のベッドルームに上がったものの、

痛過ぎて寝れない。

(でも、ライザ先生がドンドン痛くなってきたら良い兆候って言ってたから!)

そんな風にポジティブには思うものの

『あんどりゅぅうううううううううーーーー!!!!!』と

陣痛が来る度に叫び、

骨盤を中にギュッと押して〜と懇願しました。

その彼の押し方が、ぎゅっぎゅっという短いスパンでの押し方で

私の中ではぎゅうううううううって押して欲しいのにぃいいいと不満を感じながら

その一方で、

いや、せっかくやってくれているんだし、彼のベストだろうし、

文句を言ったら失礼だわと

他人行儀な自分も出て来ている事に気付き、苦笑しました。

まだまだ、相手に気を使う余裕が有る位だから、もう少しかかるのかな。

だって、出産間際になったら人の目も気にしていられないし、どうでも良くなるって

ライザ先生言ってたし。。。。

そう陣痛の合間に思いつつ、

この痛いのは耐えられん。このままいたら、この人の事を嫌いになりそうや。

そう思って、

『アンドリュー、一つお願いがあるんだけど、

 骨盤を押すととても気持ちがいいの。

 でも、力を抜いた瞬間に痛みが倍増で来るから、ぎゅうううううって押して欲しい』

とアンドリューに言いながら、陣痛が始まり、

『はい、今あああああーきたあああああーぎゅううううううう!!!!!』

と叫ぶ私。

きっと、彼はここで日本語を一つ学んだ事であろう。

”ぎゅうう”という。

1分間の波が終わると、アンドリューが

次の陣痛が来るまでにあれとこれを準備しなくちゃと

席を離れる。

こりゃあかん。1人では、もう私は耐えられぬ。

こんな精神の弱い私をお許し下さい。と、シャワーに入りました。

シャワーは最終兵器として残しておいた方が良いと自分の中で

大好きなフルーツは最後に食べる的な感覚で残しておいたけど、

こんな時期尚早に使ってしまうとは。。。。

そんな風に思いましたが、

水をかぶるとこんなに気持ちがいいものかと思うほど

シャワーのお湯が骨盤に当たるだけで、1人で耐えられる陣痛の痛さに変化した時は

ちょっとシャワーを浴びながら小躍りをしたほど。

シャワーを浴び始めたら、陣痛が3分間隔に。

そして、シャワーを出ないとと思った瞬間に、一抹の不安がよぎりました。

アンドリューは私の大好きな人で一生懸命やってくれてる。

だけど、

私はその時、猛烈に女性のサポートを欲しました。

女の人のエネルギーが欲しい。

しかも、出産を経験している女性に。

言わなくても分かってくれる。

言わなくても察してくれる。

そのエネルギーが私には必要でした。

アンドリューは素晴らしいパートナーだけど、

でも、男性だから絶対に分からない。

女性のテレパシーみたいな察知能力、つながる能力が私に凄く安心感をくれる。

(その感覚は、その後の出産でも正しくて、私はこの3人の女性に囲まれて安心感に包まれて、女性が持つ優しさと愛の中で出産とその後の回復に臨む事が出来ました。)

私はシャワーを出たすぐ後に泣き始めました。

うわーん、うわーーんと。

陣痛が痛過ぎて泣いているとか、

陣痛が怖くて泣いているとか、

こんなのもう無理ッて言って泣いているとか、

そのどれにも当てはまらない言葉にならない涙でした。

泣いている私を見てアンドリューが、グレイシーをまた呼び戻す事にしました。

『いずみが泣いてる』

そう言うと、グレイシーがすぐに戻って来てくれました。

そして、3分置きになった事で、ポーラとヘイリーも戻って来てくれました。

それが夕方5時の事です。

初めての陣痛から、

余裕ぶっこき期を越し、

ジリジリ追いつめられる期を経て、

やっちまいましょう期を迎えた15時間目。

ここから、あと7時間続くとは、私は想像もしていませんでした。

続く

モノクロから虹色へ

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