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動けるのに動けない人へ 体のつながりを取り戻すヒント

12 分前
読了時間: 6分

「体は動く。運動もしている。なのに、どこかが思うように動かない」


この感覚を持っている人は、少なくないのかもしれません。


先日、マット養成講座の中で、ゲストの方に来ていただきました。わたしがその方を指導し、生徒さんたちが観察するという時間です。


来てくださった方は、とても体が動く方でした。幼少期にバレエを10年ほど経験され、今はテコンドーに励んでいる。運動歴もあり、集中力もあり、こちらの言葉への反応もとても速い。


ただ、ご本人は「テコンドーで股関節が心地よく動かせない」と話してくれました。


体を見ていくと、確かにバレエで培った使い方が、何十年経った今も体に残っていました。美しく動ける。でも、楽に自由に動けているかというと、そこにはまだ余白がある。


その時間は、まさに「動けるのに動けない人へ 体のつながりを取り戻すヒント」を、目の前の体から教えてもらうようなレッスンでした。



動ける人ほど、自分の弱さを探しにいく


運動経験がある人は、こちらの言葉をすぐに体へ反映できます。


「ここを感じてみて」

「こっちへ押してみて」

「力を抜いて、でも抜けすぎないで」


そんな曖昧にも見える言葉を、自分なりに処理して、すぐ動きに変えようとします。

今回のゲストのかわいらしくありながら、芯の強さがありそうな方も、まさにそうでした。


理解が速い。

自己分析もできる。

素直で、まっすぐ。

そして、食らいつく力がある。


汗をかきながら必死に取り組む姿は、とても美しかったです。

人が自分の体に一生懸命になる姿には、独特の美しさがあります。


けれど同時に、気になることもありました。


彼女は、自分の中の「弱いところ」を探しにいっているように見えたのです。


もちろん、弱さを知ることは大切です。でも、体を見ていると「ないものを足す」より先に、「すでにあるもの同士が手を組めていない」ことの方が多い。


筋肉はある。

力もある。

でも、それぞれが独立している。

隣りにいる強い仲間に、まだ気づいていない。


そんな印象でした。


体は、その人のあり方を隠せない


レッスンの途中で、ゲストの方が少し笑いながら言いました。


「どうして、わたしの性格までわかるようなことを言うんですか」

体を見ていると、その人の考え方やがんばり方が見えることがあります。


もちろん、性格を決めつけたいわけではありません。ただ、体にはその人のパターンが出ます。


がんばる時に、どこから力を入れるのか。

怖い時に、どこを固めるのか。

言われたことに応えようとする時、呼吸がどう変わるのか。

うまくやろうとした瞬間、どの関節が先に動くのか。


「正しく動こう」とした時ほど、その人の「正体」のようなものがふっと現れます。


今回の彼女は、とても器用でした。言われたことをすぐにつかみにいく力がある。だからこそ、体の中でまだつながっていない部分も、はっきり見えました。



今回の鍵は、股関節ではなく肩甲骨だった


ご本人の悩みは、テコンドーで股関節が心地よく動かせないことでした。


だからといって、最初から股関節だけを見ればいいわけではありません。股関節が動きにくい原因が、股関節そのものにあるとは限らないからです。


体は、ひとつながりです。


脚を上げる時、股関節だけが働いているわけではありません。体幹、背骨、肩甲骨、足裏、呼吸。その全部が、その人なりの順番で参加しています。


初めてのレッスンでは、すべてを一度に変えようとしません。


わたしが考えていたのは、この一回で何を持って帰ってもらえるか、でした。


体のいろいろな場所にアプローチしたい。けれど、今日いちばん理解しやすく、変化として感じやすく、家に持ち帰れるものは何か。


動きを見ていく中で、今回のターゲットは肩甲骨の使い方だと感じました。


肩甲骨が変わると、腕だけでなく胴体の使い方が変わります。胴体の使い方が変わると、骨盤や股関節の感じ方も変わります。


下半身の問題に見えて、上半身のつながりが鍵になることはよくあります。


「押してみて」で、体がカチッとはまる瞬間


レッスンの中で、わたしは少し彼女に近づきました。


そして、体を使って抵抗を作りながら「こっちに押してみて」と伝えました。


すると、ある瞬間にカチッとはまりました。


それまでバラバラに働いていた部分が、一瞬だけ手を組む。体の中に通り道ができる。力が無理なく伝わる。


その瞬間、本人にも「あ、これか」という感覚があったと思います。


ただ、そのつながりはすぐに途絶えます。


これは失敗ではありません。むしろ自然なことです。


長い間使ってこなかったつながりは、一度見つけてもすぐには定着しません。何度も見つけ直す必要があります。


ここで大切なのは、「できない」と判断しないこと。


一瞬でもつながったなら、体はその道を知っています。あとは、何度もそこへ戻る練習をするだけです。



もっと強くなる前に、もっとつながる


運動をしている人ほど、「何が足りないのか」と考えがちです。


筋力が足りないのか。

柔軟性が足りないのか。

体幹が弱いのか。

練習量が足りないのか。


もちろん、それらが必要な場合もあります。


でも今回のように、すでに十分な力を持っている人もいます。足りないのは、力そのものではなく、力の通り道です。


強い筋肉を増やす前に、すでにある筋肉同士をつなげる。

がんばる量を増やす前に、がんばり方を変える。

苦手な場所を責める前に、その場所を助けてくれる仲間を探す。


体は、単体のパーツで動いているようでいて、実際には関係性で動いています。


肩甲骨と肋骨。

背骨と骨盤。

足裏と股関節。

呼吸とお腹。

目線と首。


どこかひとつが変わると、全体の動きが変わります。


だから、動ける人ほど「もっと鍛える」だけではなく、「どことどこが手を組めば、もっと楽になるのか」を見ていく必要があります。




すでに「ある」力に気づくことから始まる


今回のレッスンで、わたしが強く感じたのは「すでにある」ということでした。


彼女には力がある。

反応の速さもある。

集中力もある。

素直に取り組む強さもある。


ただ、その力たちがまだ十分に手をつないでいなかった。


動けるのに動けないというジレンマは、能力がないから起きるのではないのだと思います。

むしろ、力があるからこそ起きることもあります。


動けてしまうから、なんとかできてしまう。

なんとかできるから、本当はもっと楽に動ける可能性に気づきにくい。


でも体は、少しのきっかけで変わります。


一瞬カチッとはまった感覚。

肩甲骨から力が通る感覚。

股関節だけをがんばらなくても、脚が動き出す感覚。


それを何度も見つけ直していくうちに、「動ける体」は「自由に動ける体」へ近づいていきます。


もっと強くならなくてもいい瞬間があります。


まずは、すでにある力同士が手を組める場所を探すこと。

そこから体は、思っている以上に静かに、そしてパワフルに変わり始める

それが Soul Of Pilates が提供していることの一つだなと改めて感じたレッスンでした。


そして彼女がここからもっともっとパワあフルに楽に自由に好きなことに没頭できる力を持つ体に変化していくことが楽しみです。



モノクロから虹色へ


 
 
 

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