卵をぶつけられる

大統領選が終わり、IHの講習会も無事に終了して、

ようやくゆっくり出来るとしていた朝。

アンドリューが『いず美、今日外に出る時に気をつけろよ』

と言う言葉で目が覚めました。

毎朝、アンドリューはいつもベッドに来て

愛しているよとか、良い一日を過ごしてねとか、言ってから出て行きます。

今朝は、気をつけろって。

目を覚まして何があったのか？と聞いてみると

『ロサンゼルスで、フィリピン人の女の子が犬の散歩中に

　トランプの名前を呼んでいる誰かに卵を投げつけられたって』

彼女のFacebookのポストを見てみると

髪の毛が卵の黄身でべとついて、本人の表情は怒りと恐怖と悲しみとパニックが集った感じ。

それを目にして一瞬にして、凍り付いた朝。

『私たち大丈夫よね？』

そんな風に言いながら、そのままアンドリューは出かけて行きました。

私はいつも通り、ヨガに行きました。

そして、ヨガスタジオに入ると、一瞬にして自分がいつもと違う形で世界を見つめているのが分かりました。

今まで考えた事も無かった。

でも一瞬にして、そのスタジオに私だけがアジア人だと言う事を自覚しました。

なんとも言えない恐怖心が襲って来て、ヨガの初めの瞑想時間に泣けて来ました。

頭の中では、

ヨガはインド発祥や。

っちゅーことは、アジアの事をやっているわけで、

ここにいる人たちは少なくとも私には卵をぶつけへんやろ。

そう考えていると、瞑想中に（瞑想に全くなっていないが）

白人で金髪の先生が

『私たちヨギーは。。。。』

なんて話し始める。

本気でヨギーだと思っているのかな。

それでも、この人もトランプ支持で移民を嫌っているかもしれない。

いや、でも、私が居る所は、カリフォルニア。

民主党支持の州だから、きっと大丈夫に違いない。

そんな頭の中でのどうしようもない妄想が止まらずにいました。

トランプ支持だからと言って、人種差別を支持しているとは限らないかもしれない。

もしかしたら、それはメディアによってでっち上げられたものかもしれない。

それでも、一歩家を出たら、私は誰かの憎しみの対象になりうるのだと。

そんなことを考えていると、先生が私の所に来てダウンドッグのポーズのサポートをしてくれました。

一瞬にして、大丈夫だと安心した瞬間。

触られただけで、愛を感じた瞬間。

その日の夜、私の家で『Human Awareness』の集まりがありました。

１６名の人が私の家に集って、今みんなが感じている恐怖について話をしました。

憎しみ。

ゲイに対する憎しみ、

一定の宗教に対する憎しみ、

人種に対する憎しみ、

不当に扱われる憎しみ。

そこにも全員が白人で私のみが、アジア人。

意を決して、白人社会にいる事の怖さを白人の参加者に向かって伝えました。

『白人だとか、黒人だとか、ゲイだとか、そんなことで私が今

　世界を見て怖がって、ここにいる一人一人の良さを分かろうともしないでいる事が

　とても嫌だ』

と。

すると一人の参加者がこんな風に教えてくれました。

私たちの頭は、”サバイバル”の為に動く。

だから、恐竜やトラやライオンがいなくなった今、頭は他のストレスを探して作動し始めやすい。

もしも、頭に全てをコントロールさせたらきっと全てが恐怖の対象に見えるだろう。

それをハートのスペースに持って行くんだ。

ハートを使って、世界を見る所に戻ってごらんよ。

また、きっといず美が見ている世界に戻れるはずだ。

頭を使うのは、本当にサバイバルで必要な時に使えばいい。

恐怖が出て来たら、それは多分頭の中での妄想にとらわれているんだ。

だから、ハートのスペースに戻ってみたらいい。

そうだ、マチルダがずっと言ってたっけ。

隣りでずっと聞いていたのに。

『暗闇は光の元にいたら、光の方が勝るのよ』と。

『頭ではなく、ハートのスペースに戻りなさい。そこからヒーリングが始まるの』と。

あまりにも浮き彫りになった”憎しみ”に対して

愛をもって変換をしていく事が出来たら、もしかしたらこの機会はまたとないチャンスなのかもしれない。

頭からハートへ

モノクロから虹色へ