top of page

顔面を殴りたくなるほどの怒り

初めて見た時は、明らかにげっそりとした表情の女性だった。


それでも丁寧な言葉遣いと、振る舞いは

彼女の見た感じの雰囲気とギャップがあり、

この彼女の優しさが彼女を疲弊させているのかもしれないと感じ入る印象だった。



どうしましたか?


「慢性疲労で、何をするにもエネルギーが出ないんです。」


それが彼女の初めてのセッションだった。


彼女のセッションで出てきたことは、遮断された陰陽のバランスを整える

という内容だった。


「遮断された、、、なんのことだろう。

 実は10年前にお腹の手術をしたんです。」


そう言って、彼女は洋服をたぐりよせてお腹を出した。

そこには、お腹に横に切った形跡があった。


(ああ、主要な経絡は体を上下に流れているから、それを体を横に切ったことで

 エネルギーの流れが遮断されたのか)


そして、彼女のセッションはその経絡の流れを整えることで終わった。


数日後、彼女から、朝の目覚めがいいという連絡をもらった。

久しぶりに元気に朝を迎えることができたと。


そして、数ヶ月後、また彼女から連絡があった。


やっぱり元気が出ないのだという。


「前のセッションの効果が切れてしまったのでしょうか?」


体に筋肉反射テストで聞いてみるが、前のセッションは完結している。

つまり、経絡の遮断は整っている。


体はきっと疲れたことが一転したという経験を使って私のところに来るように仕向けたのかもしれない。だとしたら、きっと彼女の中に別の解決したい何かがあるんだろう。


彼女に「元気が出ない他に、何かありますか?」と聞く。


特に何も。


大体の人は、こう答える。

何かあったら、とっくに解決をしてる。

でも、体調を悪くして、来るということは自分では気づいていない何かがあるということだ。


「元気が出ない」ではセッションの許可が降りない。


そして、本人は何もない。という。


体に聞いていくしかないか。


そう思い、スキャンチャートをチェックした。


すると、「私は、自分の憤りを手放します」と出る。

ちなみに、憤りとなっているけど、英語にするとoutrageとなっているので

ちょっとやそっとの怒りではない。


それを伝えるが、彼女はポカンとした表情。


一瞬、自分のきんはんがぶれたかと思ったが、そうではない。

ビンビンに、怒りに反応をしている。


そして、沈黙がかなりの時間、私たちの間を過ぎた。

すると、彼女が

「怒りというか、なんでこんな風になっちゃったんだろう、、、っていう出来事は一つあって。」


と話し出した。


「私、すごく大好きになった人がいて。 

 初めて知り合った時に、もう絶対にこの人は私の全てをわかってくれるって感じたんです。

 私のことを気遣う言葉とか、メッセージでたくさんもらって。

 

 結婚しようねって言葉をもらったときは、夢が叶ったって思いました。


 でも、その彼のお父さんが、病院に急に運ばれて、緊急の手術になったんです。

 そして、大金が必要になって、私、貯金をおろして500万を渡したんです。」



聴きながら、私は、吐きそうになった。


 「そして、送金したら、それから段々と返事がなくなってきて。

  忙しいっていうから、きっと大変なんだろう。そうなんだろうって。

  でも、会えないのは寂しいって思って、伝えたら、君はそんなにわがままなのかって。」


私の中で怒りで筋肉反射テストが取れなくなってくる。


 「それで、音信不通になったんです。

  今も、どこにいるんだろう。なぜこうなってしまったんだろう。」


私たち女性は、男性に対して怒るということを学んでこなかった。


いつも相手のことを理解して、配慮して、気遣って、自分のことを後回しにして。

素晴らしい。


でも、それを受け取るに相応しい男性しか、あなたからのその優しさを受け取ってはいけないのだと

言いそうになった。



潜在意識は、彼女に畳み掛けるようにメッセージを出す。


「あなたの怒りを表現していいんだよ」と。


彼女はいう。

「怒ってもいいって、’怒ったって何も変わらないし。」


「でも、潜在意識、つまり、もう一人のあなたが、怒りを表現してって伝えてるということは

 どうして欲しいんだろうか?」


そう聞くと、彼女は天井を見上げながら、ツラツラと涙を流し始めた。


「私は、騙されたなんて認めたくない。

 でも、あの一件で、男性の何を信じたらいいのか、わからないんです。

 あ、違うか。自分の何を信じたらいいのか、わからないんだ。」


そして、2回目のセッションは、

「自分を信じることができない」というテーマで入っていった。


自分の感覚を感じるようになる。


そう彼女の潜在意識が周波数を合わせて、この日のセッションは終わった。


数日後、彼女から連絡がまたくる。


「いず美さん、どうしよう。彼のことが夢にずっと出てくるんです。

 で、私、どうしてあんなことするのよ!って叫んでるんです。

 でも、彼には届かなくて。

 でもずっとずっと、私は叫んでるんで。喉から血が出るぐらい。」


そして、3回目のセッション。


テーマは、彼への怒り。


前回、自分の感覚を信じるにつながった後、彼への痛烈な想いがようやく浮上してきた。


きっと今までの彼女は

自分の中の怒り警報を、おそらくだけどすごく深いところにしまい過ぎて、

埃がかぶって、鳴らなくなっている状態。


知ってる。

私もかつてこうだったもん。


怒ることが負けだと思っていた。

怒ることはハシタナイと思っていた。

怒ることは、惨めだと思っていた。

怒ることは、自分の冷静を欠いた浅はかな行動だと思っていた。


でも、違う。

怒りを感知することは、自尊心の始まりだ。


自分がされて嫌なことを怒りというものが伝えてくれているに過ぎない。


彼への怒りの中で、どれだけ怒ってるかを聴きました。


「彼が泣きながら平伏して、恐怖で脱糞しながら許しを乞うても、

 顔面を何度も蹴り上げたいぐらい怒っています」


そう彼女の口から出てきた時、彼女の目は初めて会った丁寧な礼儀正しさの仮面ではなく

本物の彼女だった。怒りなんてしりませぬ。そんな処女の彼女ではない。ここから自尊心を持って、大人になっていく女性の目になっていた。


そして、


「私は、私のことを大事にする人と関わっていきます」


という周波数に合わせて、セッションは終わった。


数週間後、彼女が写真を送ってきてくれた。

真っ黒な腰まであった長い髪が、ボブショートになって、彼女の元々もつ可愛らしさが引き立っていた。


おお!かわいい!


相変わらず、彼女の文章は丁寧で礼儀正しい。

でも、そこにはちゃんと自分の想いや意見が載っていて、読んでいて、とても気持ちが良い文章だった。


いい女とは、ナイーブな可愛げの、なんでもいいよっていう女じゃないと私は、思っている。


自分を大事にすることを理解している女だと思う。

その上で他の人を大事にする女だと。


でも、そういう女性になるために、神様はたまに目覚ましの如く不健康な男性を人生にもたらす。


まるで、今までの生き方を根底からゆるがし、混乱させ、自分を見つめ直させるかのように。


それは、心にダイレクトにわかる人もいれば、原因不明の体調を崩すというパターンでお伝えがくる場合もある。



私は、獅子が叫ぶが如く、怒りを表現できる女性を美しいと思う。

強いと思う。


そういう女性が、他の人の心の傷に寄り添い、賢い選択肢をしていく姿を見せられるのだから。


こうやってゆっくりと彼女のペースに合わせて寄り添うインテグレイティッド・ヒーリングをすごいと思う。



まずは体を整えて、次に怒りを気づかせて、最後に自分の変容に持っていく流れ。



3回もセッションしたって思うかもしれないけど、

これ、トークセラピーだったら何回かかってるんだろう?


これ、普通のお医者さんは3回の診察で彼女らしい生き方に誘えるだろうか?


最後のメイルで彼女に質問をした。


「セッションを受けていなかったら、どんな人生だったと思う?」と。


「きっと、私はずっと怒りをひた隠しにして、

 こんな私だからって卑屈になって生きてきたと思います。

 

 自分を受け入れてくれる人、いないかなって思いながら、

 自分を受け入れてくれても、信用ならない、、、みたいに生きてたかもしれないです笑」



「どんな生き方にかわったの?」と聞くと


「もう絶対に自分を大事にしてくれる人だけと関わっていきます!」


と。



そう。

私たち女性にも、選ぶ権利はあるのだ。






モノクロから虹色へ










Comments


Featured Posts
Recent Posts
Archive
Search By Tags
Follow Us
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page