術後の体と心





どんな手術でも、自分が麻酔で無意識になり

なんの抵抗もできない状態で体に触れられる事は

とても体に緊張が走り、一瞬自分の力を失った状態になるのではないかと思う。

というのも、

今まで手術をした後に来てくれたクライアントさんの中で、

筋肉がしっかりとしていた人は私が見てきた中では1人もいない。

私のセッションでは、筋肉の反応を軸に進めていく。

それは、ピラティスにしても、マッサージにしても。


インテグレイティッド・ヒーリングのセッションにしても

筋肉反射テストと言って筋肉が反応をするのを見るテストを使うのだが、

この筋肉の反応が、術後の方は、ふらふらしている。


それは例えて言うなら、膝を小さなカナヅチでコント叩いた時に

自動的にヒョイッと勢いよく足が伸びるのが本来だが、

術後の方は叩いても膝がヒョイと持ち上がらない感じなのだ。

むしろ、クタっとした感じ。

でも興味深いことに

セッションをしていく中で力を取り戻していく行程でドンドンと筋肉に力が戻ってくるのがわかる。 特に胸周りの手術をした方は、顕著に出る。

ご本人が気づくことも少なくない。

昔、私の母が心臓の手術をした後、

自分の体がなんだか自分の体のような感じがしないと言って

ある日、家族の前で何かの拍子で泣いたことがある。

その時初めて私は母の涙を見た。

後にも先にもこの一度だけだ。


今考えてみれば、きっと彼女は本来の自分から術後、自分の体に力が入らなくて

フラフラした状態でありながら、術前と同じように動こうとしていたから

とてもそのギャップがキツかったのだろうと思う。


あの時、インテグレイティッド・ヒーリングで彼女の筋肉が

ちゃんと軸に戻ることをしてあげていれば、

あんなに辛いと涙を流さなかたたのかもしれないと心残りでもあった出来事だった。




さて

最近ひとりの女性からインテグレイティッド・ヒーリングのセッションの依頼をいただいた。


彼女は私が教えるピラティスインストラクター用のグループレッスンに参加をしてくれている。


彼女を初めて教えた時、

とても力強く

体が私の声に反応をする素晴らしいインストラクターだった。

それだけではなく

彼女の内面もシャキーンとしながら優しさもある素敵な女性だった。

そんな彼女が手術をしたと言う。

そしてどうして私は手術をする事になってしまったのかと自問自答しているようだった。

この病気を引き起こした原因として

私のどこが行けなかったのだろうか?何が行けなかったのだろうか?と。

私も彼女の立場であれば、きっと同じことをすると思う。


ただ彼女のその姿はまるで自分の力を取り戻すための自問自答と言うよりも

自分の力をドンドン失っていく自問自答のように聞こえた。

本来の彼女の力強く美しい姿から離れている彼女に違和感を覚えながら私は話を聞いた。

するとあるセラピストの人から

いろんなアドバイスを受ける中で自分の優しさが弱さだと指摘され

「そんなんだから病気になったんだ」と指摘してもらったと言う…


でも私は彼女のように自己中で生きたくないと言う気持ちもあってどうしましょうと言うのだ。

多くの人が

セルフケア(自分を大切にする事)とセルフィッシュ(自己中)の違いを理解できず混同してしまう。


そして、本来、芯のある彼女は手術をした事で

自分の筋肉がシャキンとした状態を失い、

その上で覆いかぶさってくる人の意見に揺らぎ、

本来の彼女ではないところで心を悩ませているようだった。

さて、彼女の潜在意識はどこへ連れていくのだろうかと

筋肉反射テストを使って慎重に聞きながら進めていった。

出てきたのは「自分の力を取り戻す事」

そして、何に力を奪われているかといえば、彼女自身が自分に優しくない人を自分の周りに置きその上でその人たちの意見に耳を傾けて心を痛めていることが原因だと理解した。

まあ、女性はやりがちである。

どんな人の意見も聞いてしまうことを。誰か知らない人にすら「あなたの前髪変ですね」と通りがかりに言われたら、一番近くのトイレに駆け込んでチェックするだろう。何が変なのだろうとその人の発言を鵜呑みにしてしまう。もしかしたら、自分が気に入ってたと思うのは間違いだったのかもしれないと、帽子をかぶって隠したくなるかもしれない。


その一方で、

男性の場合は「俺は気に入ってるし、お前のこと知らねーし」と言って受け付けないことが大半だ。

さてセッションが終わる時彼女の表情は全く違っていた。

憑き物が取れた様な顔をしていた。


そして、彼女に手術の傷跡を見せてもらった。


彼女は傷跡を見せながら「私頑張った!これは私の勲章です!」と力強く言った。


そうそう!

こうやって自分の1番の味方でいる彼女が、私は、大好きで尊敬するところだ。

さて、その数週間後のピラティスのグループレッスン。


傷口を見せてもらったことと可動域を教えてもらったことで

私はどんな言葉掛けをしたら彼女が傷口を痛めることなく最大限にカラダと繋がれるかを考えて、

他のマスターインストラクターとも話し合って私自身もティーチングに臨んだ。

通常私のレッスンは90分をとっている。60分動き後の30分は心の中で起きていることやその人の人生が今どんな感じなのかたわいもない話の中で聞いていく。

そうする事でどの筋肉にアプローチをしたらその人の行きたい方へサポートできるかが

見えて来るから。

6:30からの早朝レッスンが終わった後、彼女に傷の状態はどうかを聞いてみた。


そして返ってきたその答えに私は心が震えて泣いちゃったなあ。


やっぱり自分の力を取り戻す姿を見せてもらえるって幸せな仕事だなあと。