嫉妬という感情について

『わあー〜ー！！！すごいねえ！』と手を叩いて喜んだそのすぐ後に

バタンと大きくドアを閉める音がした。

え？と思ってアンドリューたちと顔を見合わせると

さっきまでいた長女がいない。

どこに行ったんだろう？

気配は奥の部屋から感じた。

アンドリューが「俺がいくよ」と目配せをして席を立ち

私は次女にすごいねえと褒め続けた。

その数分前、

２歳の次女がうんちをトイレでできた。

大きくしっかりした長いうんこの存在感たるや。

そして、私の心の中では2歳児の『やる！』っていう気持ちって半端ないなあと感嘆していた。

いやいや期というけど、

そうじゃない、「やるやる期」なんだ！と学んでから

子供が目を輝かせて本気になって「やるんだ！」と訴える気持ちに

心からサポートしたいと思うようになった私。

でも、やるやる期はそんな甘ったれたもんじゃない。

私の想像をはるかに超えるほどの爆発力を持っていた。

私が次女に言ったたった一言。

トイレでおしっこができた次女に

「すごいね〜もうおしっこがトイレでできるから、今度はうんちもできちゃうんじゃない？」

それを聞いて、スイッチが入った次女。

翌日からトイレでうんちをするという。

オムツですること断固拒否。

そうか。。。。

そして、うんちをトイレでできた時、私は、彼女の凄さを本当に感じた。

日本に上陸して、初日、うんちをホテルのトイレでする。

そこから毎日、うんちはトイレ。

一度もおむつは使わなかった。

やるやる期、半端ねー

おむつ大量に残って、両親の家に残してきました。

さて、その次女が自宅に戻ってもやはりうんちをトイレでできることに大人たちは

すごいね〜！！！！と手を叩いて拍手喝采を浴びた夜だった。

そして、長女はその次女が大人に拍手喝采を浴びる姿を見て、別部屋へ籠城。

私は、もっとうんちをするという次女を残して、長女の部屋へ。

アンドリューと話していた長女に

「ねえ、質問していい？」と聞いた。

カーテンにくるまって身を隠している彼女。

「さっき、妹がうんちできてみんなが喜んでいるのが嫌だった？」

頷く彼女

「妹がうんちできて自分がトイレでできないのが嫌だった？」

頷く彼女

そして、顔を出し

「うんちが臭いから嫌い！」

と言った。

その後アンドリューが

「いや、君のも相当臭いですけど・」というので

私も参戦して

「そうよ、ママがいつも拭いてるからしらんやろ」

というと笑い始めた。

「何ができようが、できまいが、君のことは僕たちは愛しているよ」

そう言ったアンドリューの言葉はスイートだけど、

彼女のツボはそこじゃないっぽい。

「ママもあるよ。

　誰かができてるのに、ママはできなくて悔しいこと。いっぱいある。料理もさ」

というと

「ママのお料理たまに食べてあげてるよ」

という長女。

二次災害ぶり、半端ない。食べてくれてるのね、チェ。

そして

「悔しい気持ちなんだよね。わかるよ。」

建て直す私。

両親から注目浴びて少し気持ちが落ち着いたのかカーテンから出てくる長女。

そんな時にやるやる期全開の破壊王、次女。

「もっとでたー！」とウンチの桶を持ってくる。

「臭いからきっらい！！！」

と長女、籠城アゲイン。

ま、アンドリューに任せましょ。

そして長女と旦那さんを残したまま、トイレの掃除等が終わった後に

顔にクリームを塗っていると、

長女が次女に「あなたがウンチ、できたこと、お祝いするよ」と言ったらしい。

それを聞いて、胸が熱くなった。

そうか。

アンドリュー、きっとそれを教えたんだろうな。

布団に入る時、長女を抱っこしながら真っ暗闇で伝えた。

「あのね、教えたろ。

　今日、初めて感じる感情を経験したね。

　今日ね、感じた気持ちを”嫉妬”っていうんだよ」

「嫉妬？」

娘は私の言葉を繰り返して聞いた。

「そう嫉妬。

　誰かができて褒められてるのを、いいなあって思う気持ち。

　自分はできなくて悲しいなっていう気持ち。

　それを嫉妬っていうの。

　それをね、褒められている妹に向かって、すごいね。お祝いするよって言うとね

　嫉妬がパワーに変わるんだ。あなたを強くしてくれる。

　その嫉妬をパワーに変える方法をパパから学べてよかったね。」

そう言ったら、娘はもう寝てた。

どこまで聞いてただろうか。

私は嫉妬した人に、おめでとう。という強さはあっただろうか。

そう思いながら、私も眠りに落ちていった。

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