アルコール中毒症の男性のセッション

コロナの一件から、インテグレイティッド・ヒーリング(IH)のセッションが

オンラインでのセッションのお申し込みが多くなったこの頃。

一人の男性から連絡が入った。

『僕の親友がアルコールでまた捕まったんだ。

 彼のアルコール依存をやめたいと思っているのに、やめられないんだよ。

 いず美のIHのセッションでどうにかしてくれ』

『IHで、彼の潜在意識がどこまで行くことを許可するか見てみるよ。』

そう言って、私は彼とのセッションをオンラインでつないだ。

何度かアルコール依存のセッションはしているが、

この男性もまた、目が虚ろだった。

始まる前に、母親が出てきて『今日は息子をよろしく』と言った。

アメリカ人にしては珍しいなあ、

お母さんもきっと心配なんだろうなあ

そんな風にして始まったセッションだった。

彼のセッションの中で出てきたこと

それが、

彼の潜在意識が選んだ『ネガティブなエネルギーコードを切る』というものだった。

『誰とネガティブにつながっていると思いますか?』

そう虚ろな目の彼に聞くと、

『I don't know....』

そう連呼していた彼が『僕には、今、家族しかいない』と言った。

『家族とは誰?』

そう聞くと

『母親かな、父親かな、弟かな、、、』

そう家族構成を伝え始めた。

即座に、母親に反応をした。

『お母さんって出るんだけど』

そう言ったとき、彼の目が、かすかにそれでいて、機敏に左右に動いた。

『お母さんとのネガティブなエネルギーコードを切るって、

 あなたの潜在意識は言ってる。何か思い当たる?』

彼は黙って、天井をまっすぐ見ながら、

言葉にならない思いを言葉にしようと必死なようだった。

彼の中での葛藤を感じる。

ここまでしてくれている母を非難するのは嫌だ。

でも、

僕の中で、母とネガティブにつながっているのもわかってる。。。。それを認めてしまっていいのだろうか。

そんな風な葛藤な気がした。

『ごめんなさい、私の質問の意図は、お母さんが悪者ねっていう意味ではないの。

 ただ、なんとなく、何か気づきがあるかなと思って聞いたまでなの。

 ここでするのは、誰かを悪者にするのではなく、

 単純にネガティブにつながっているのを解除するっていうこと。

 それって無意識のうちにやってしまうことってあるじゃない?どんな関係でも。

 ただ、ポジティブな繋がりだけは残るっていうのも、覚えておいて欲しいの。』

そう言って、彼は言葉にならない思いをそのままに『わかった』と言って、

次の行程に私たちは進んで行った。

この前段階で、彼自身と、今日の潜在意識が到達するゴールを決めていた。

それが、

『自分で選択をしていい』

というものだった。

そこでお母様とのエネルギーコードが出てきたので、

私は彼にとって何かパターンなり何かの気づきがあるかと察したが、

彼の中で、それを言葉でつなげるのことは難しいようだった。

私は、そのまま進んでいった。

ただ、数十分後、修正をしてる最中に

『今、話してもいいかな。。。』

と彼が聞いてきた。

『もちろん』

そう答えると、彼がボソリボソリと自分の思いを話し始めた。

『僕の両親は、毎週教会に通うとても献身的なクリスチャンで、

 慈善事業も沢山している。

 僕のためにも一生懸命なんだ。

 いろんな人があなたの両親は素晴らしいっていうんだ。

 僕も、そう思う。

 母に、なんの落ち度もない。彼女の僕への献身ぶりもすごいんだ。

 その素晴らしい両親の息子として、僕は今までどう振る舞うべきか考えて生きてきた。

 でも、このセッションで僕は選択をしていいって出たよね。

 僕の選択が、素晴らしい両親の息子として、

 合わなかったらどうしたらいいんだい?』

私は、興味深く話を聞きながら、質問をした。

『失礼ですが、今、おいくつですか?』

『38歳です』

『そうですか。38歳の立派な男性に、

 お母様は、なんのために、あなたにそこまで献身をしているのか

 聞いたことはありますか?』

『どういう意味ですか?』

『先日、mother's shadow workっていうのを体験したんですが、

 その中で多くの男性が、お母様の愛について混乱している感じだったんですよ。

 女性って、母のエネルギーを誰もが持つのですが、

 それが本当に相手を育てるためのものなのか、

 相手を自分の目的のためにコントロールするためのものなのか、

 そこで迷っている男性が多いっていう話を聞いたばかりで。

 確かにそこにいる男性のほとんどが、loveをもらっているのか

 control をもらっているのか、とても混乱しているって言ってたんです。

 その中で、

 ほとんどの男性は少しの愛をもらうために

 母に自分をコントロールさせるのを許可する。

 そして、母たちは自分の殉教と犠牲の行動を使って

 息子たちに罪悪感を抱かせ、keep them small する。

 そんなセンテンスがあったんです。

 ふとそれを思い出して、

 あなたのアルコール中毒の症状というお題で入り、

 そこに自分の選択をするということを潜在意識はゴールとして求め

 そのために、お母様からのネガティブな繋がりを断ち切るということが選ばれたので

 あなた自身が、お母様と合意のもとで、献身してもらっているのか、

 それとも、

 合意なく献身する母と、献身を受け取らざるを得ない息子の関係になっているのかな?と。

 なので、お母様がなんのためにそこまで献身をしてるのか

 ご存知なのだろうか?と思ったまでです。

 失礼に当たったら、ごめんなさい。』

『母に聞いたことは、ありません。

 僕は小さい頃からそうでしたから。』

『そうですか。ちょっと余談が過ぎましたよね。すみません。』

『いや。もう少し話をしたいんですが、

 そこにいた男性は、どんな風にその関係を変化させていくことにしたのですか?』

『私が観察した中での話ですが、

 男性の中には、キングというエネルギーがあります。

 自分の中で物事を決断し、

 自分の王国を作る自由と責任を持つ行動を取るというエネルギーです。

 そのキングのエネルギーにつながっていましたよ。』

『そうか。じゃあ、僕も自分の選択をしてもいいっていうことは、キングのエネルギーにつながって、母との折り合いは、そのあと責任を持っていけばいいっていうことなのでしょうか?』

『なるほど。興味深い見解ですね。

 あなたのセッションと今の話で出たキングの流れがそんな風に繋がるとは、思っていませんでした。』

『いや、僕はキングではなく、ずっとBoy だったんだと思います。

 だから、Boyじゃいたくなくて、アルコールに依存したり、

アルコールを飲んで運転したりと、

彼女の手から離れようとしていたのかもしれません。』

『そしてもっと彼女から手厚い介護を受けることになった。

 それって、本当にネガティブなエネルギーの繋がりですね。』

セッションが終わった後、彼の目が光を取り戻しつつある感じだった。

あんなに無気力だった彼が、少し、ハイテンション気味になっていた。

『今日のあなたのセッションで、私自身、素晴らしい流れだなって思って。

 そんな風に

 お母様と知らなうちにつながっているのは男性だけではないと思うのです。

 そのセッションの内容を名前は伏せさせてもらいますが、

 日本語のブログで、シェアさせてもらっていいでしょうか?』

『ああ、もちろん』

そんな風に意気揚々と答える彼に、私はなんだか頼もしさを感じた。

セッションを終えようとした時、

彼の母親がまた画面に現れた。

『お支払いは?』と。

『クレジットカードで、後ほどインボイスを出しますので、

 そちらでお支払いくださいませ』

『ありがとう。私も、セッションが必要かもしれないわ。』

そんな風にして、電話を切った。

お母様が画面に出てきた時の、彼の表情がボーイに戻っている気がした。

彼の統合にどれぐらいの時間を要するのだろうか。。。

神様、どうか、彼に立ち上がるキングのエネルギーの道を示してください。

そう心で祈った後、

私はオンラインのセッションで行う「代理セッション」のエネルギーを解除し、

自分のエネルギーに戻った。

私も母として、愛だと思ってやっていることが、

娘にとったらコントロールになっていることがあるのかもしれないと、

少し苦い味がした。

モノクロから虹色へ

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